sora tob sakanaと私③楽曲:ワーナー期編

さあ、懲りずに続けます。

※重ねて言いますが、あくまで個人の感想・音楽趣味・知識に基づいたものなので、照井さん本人の意図・見解とは大幅にずれていることをご了承ください

 

■alight ep(2018.05.16)

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City Lightに負けない!

①Lightpool
個人的『カッコいいサカナ部門第一位』。中野サンプラザで開催された天体の音楽界vol.1で初披露。メジャーデビューが発表されても淡々としたまなちゃんから、「それでは7月に発売されるメジャーデビューミニアルバムから聞いてください。Lightpool」でこの曲に雪崩れ込んだ時のインパクトは凄かった。一瞬のドラムロールからイントロ抜きで歌が始まる構成はセトリのどこに置いても不意打ち感があって、テンションが上がる。サカナの振り付けはどちらかと言うと世界観の表現に主軸位を置くことが多いが、この曲に関しては最高にキレキレでカッコいいダンスを観ることができる。メジャー感溢れるスタイリッシュなMVも最高。シングルとしてSFアクション系アニメのOPタイアップとか取れてたら、サカナの代表曲になっていたかもという妄想。
②鋭角な日常
マスロック×南米サイケデリア。初披露時は賛否両論だった印象だが、振り付け・VJ含めたライブパフォーマンスの強度で徐々に評価を上げていった。個人的には照井さんが南米音楽にも精通しているのは知っていたし、ポストロック×南米×ビブラフォンってDylan Groupやん!と興奮してすんなりハマった。本来はフロアを横移動させることも狙った振り付けだったのだろうけど、そこは不発に終わった。アウトロでクールに「ありがとう」と言う時期があったけど、あれ好きだった。ブリッジのふぅちゃんパートはまじサウダーデ
③秘密
サカナのオタクが思う『サカナらしい曲』を『可愛くてキャッチ-』に全振りしたような曲。あざとい、こんなあざといの好きに決まってる。この曲は天体の音楽会vol.1以降歌詞・振り付けが大幅に変更され、アルバムにはそのバージョンが収録されている。旧バージョンの振り付けがシュール可愛い感じで結構好きだった。ラスサビでおさえつけてた気持ちが駆け出して(マサイして)しまうオタクが続出する。
④Brand New Blue
照井さん作曲で唯一外部がアレンジした楽曲。元はGalileo Galileiを彷彿とさせる爽やかなギターポップで、振り付けも大幅に違っていた(こちらのサビの振り付けがとても可愛い)。本作収録verではホーンセクションやシンセが前面に出た良くも悪くも煌びやかなJ-POP的なアレンジに変わっており、新鮮味はあるものの音源でもライブでもどうしても浮いてしまった印象。バンドセットでは元アレンジと本アレンジの折衷のような形になり、Deep Blueでもそのアレンジが採用されている。魔法~・tswに続いて全てメンバーのソロパートで構成されており、まなちゃんの歌唱力の成長著しさが印象的。
⑤蜃気楼の国
OWENを彷彿とさせるポストロックを通過したフォーク調の静かで美しい曲。ソロやハモなど、メンバーそれぞれの歌唱に聴きどころが多い。ライブではラストに原曲に無いコーラスパートが入る。ライブ披露された回数は非常に少なかったものの、WFT以降増えた静謐な楽曲(燃えない呪文、BYOG、踊り子たち等)への橋渡し的存在、試金石だったように感じる。
⑥Lighthouse
夜間飛行が一手に担っていたクライマックスの盛り上げ役だけでなく、ライブのオープニングも飾れるスケール感のある正当派ロックチューン。ロキノン系のバンドが披露したら普通にライブアンセムになりそうなスタンダード感は新鮮だった。クライマックスで飛び跳ねるメンバーの様子を見ると、その時のコンディション・テンションがわかるバロメーターでもあった(特にまなちゃんw)。天体の音楽会vol.3での同曲は圧巻。

 

■New Stranger(2018.07.25)

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夏の思い出


①New Stranger
初のアニメタイアップにして、2年半ぶりのシングルリリース。MV100万再生を達成し、新規ファンの獲得に大きく貢献した。一方、アニメの世界観に寄せた歌詞・アレンジはキャッチーで振りコピも楽しかったものの、正直全肯定できなかったのは今だから正直に言っておこう。後、セトリに入れすぎて飽きられてしまった感はある。バンドセットのギターがゴリゴリのアレンジ(Deep Blueも同じアレンジ)はめちゃめちゃカッコいい
②silver
初披露から音源化までかなりかかった楽曲。趣向の違う楽曲派も殺せるサカナ流平熱ファンク。Kindnessあたりのチルファンク系が元ネタ?淡々と歌うメンバーの裏で徐々に熱を帯びていく演奏が最高にカッコいい。
③発見

相当ハイスイノナサに寄せた実験的な楽曲ながら、3人体制になってからギュウ農フェス等重要ライブのセトリに投入され、フロアの空気を変えるのに一役買っていた。この系統の楽曲は毎回VJが圧巻。拍子、歌の入り方が変態すぎてメンバーは常に苦戦していた印象。

 

■アルファルド(2018.11.23)

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うみへび座でもっとも明るい恒星らしい

所謂『7インチシングルにしか収録されてない隠れ名曲』的存在。夜空~まぶしいの系譜を継ぐ世界観で、19年のふぅ生誕の人気投票でもメンバー予想外のトップ10入り(当時はまだ3人版の振りいれが未完)を果たした。間奏で入るマイク・キンセラみのあるギターフレーズとそこで性急になるドラムが大好き。

 

■World Fragment Tour(2019.03.13)

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このジャケットだけは正直・・・

①whale song

出囃子part2。曲名はVJのTONTONさんによるOP映像に合わせてと思われる。客席側が一糸乱れぬ変則クラップで出迎える光景はなんか好きだった。
②knock!knock!

シングルが一切収録されなかった2ndアルバムのリードトラック。低音重視のミニマルなトラックに突然のアラビアンなギター、初めて聴いた時はどう反応していいかわからなかったが、徐々にビートの気持ちよさに気付き、気づけば個人的にサカナで一番踊れる曲になっていた。一聴するとバンド向きなイメージは全くないのだけど、バンドセットでやるこの曲は最高にカッコいい。
③FASHION

このアルバムの中で数少ない照井さんぽい手癖のある楽曲。でもサクッと終わる。ライブでやるようになってから良さに気付いた感じ。タイトル通りファッションショーのような振り付けが独特。
④タイムトラベルして

宇宙コンビニ~JYOCHOのタッピングの魔術師ことだいじろー氏による楽曲。今作参加の外部ミュージシャンの中でも一番相性がいいだろうとは思っていたが想像以上。どこか滅びの美学のある世界観はサカナのそれと見事にマッチした。JYOCHOとツーマンライブしてこの曲コラボして欲しかったなあ・・・
⑤燃えない呪文

新鋭SSW君島大空氏による、ローファイチェンバーフォーク。ライブで披露されたのは君島氏とのツーマンとラストライブの2回のみ。『ローファイなオサカナ』という路線はこの先があったらもう少し聴いてみたかったかも。
⑥嘘つき達に暇はない

ジャンルもインスパイア元もはっきりしない人を食った感じ、トラッドっぽい感じもするけど、そんなにフォーク感はない。照井さんの引き出しの底知れなさピノキオを意識したコミカルな振付が可愛く、なっちゃんがアルバムのお気に入りに挙げていた。バンドセットでここまで大化けするとは思わなかった。
⑦暇

アルバムのインタールード的サウンドコラージュ。こういう時のメンバーの悪ふざけはいつも楽しそう。ラストライブでまさかの実演。
⑧ありふれた群青

それこそユーミンなどを彷彿とさせるシティポップ風ナンバー、おやすみの発展系とも言えるが、こういう楽曲を歌いこなせるまでに成長したメンバーの歌唱に注目。特にふぅちゃんの表現力が素晴らしい。
⑨シューティングスター・ランデブー

ex.school food punishmentで現siraphのメンバーである蓮尾氏による楽曲。Negiccoのトリプルワンダーランドを彷彿とさせるようなキュートなデジタルファンクで、これがドハマり。ライブでも頻繁にセトリ入りして、結果的に後期サカナの代表曲の一つにまで成長した感がある。
⑩World Fragment

アルバム表題曲。照井さん的手癖を全開にしつつも、Bメロのchonっぽい展開や、ダブステっぽいアレンジも盛り込んでサカナの新しい代表曲になり得る可能性はあったが、ライブでブラッシュアップさせる時間が足りなかった

『世界の欠片を集める旅』のタイトル通りバラエティに富んだ実験的な作品だったため、正直1stほどの評価は得れなかった印象だけど、個人的にはこの変化はアリだった。れいちゃん卒業の影響もありこのアルバムを引っさげたツアーが無かったこと、解散直前のアルバム全曲公演にWFTが組まれなかった、このアルバムの世界観をライブで表現する場が一度も無かったのはいまだに残念に思っている。
⑪WALK

長い時間を過ごした仲間との別離と未来での再会を誓うストレートなキラキラギターポップ。結果的にれいちゃんを送り出す曲となり、最後にはサカナのそれぞれの道への背中を押す曲となった。披露回数は極端に少なかったものの、後期サカナの最重要曲

 

■ささやかな祝祭(2019.07.24)

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久しぶりにメンバー登場


①ささやかな祝祭

アニメタイアップ第2弾。3人体制になってから初のシングル。帰り道のワンダーの路線をよりジャジーに表現してアニメの世界観に合わせていったが、結果的にアイドル・アニメどちらのファンにとっても中途半端な曲になってしまった印象。EDテーマというのが尚更難しかったか。黄昏のマティーニ
②乱反射の季節

スティールパンのフレーズが印象的な疾走チューン。ザクザク刻むギターカッティングが気持ちいい。Fashionと同じく、メジャー期以降のマスロック寄りの曲はサクッと終わるのが良い。これとかパレードとかもっとやりこんでライブで育った姿を見たかった。
③ブルー、イエロー、オレンジ、グリーン

19年のツアーのテーマトラック。アンビエントなトラックに初めてメンバーのポエトリーリーディングを取り入れた実験的な楽曲。それぞれ読み方に個性があって良い。この曲は明確に3人体制だからできることを追及した感じがする。改めて照井さんの詩の世界は独特

 

■流星の行方(2019.10.10)

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廃線ってロマンがあるよね

配信ゲームの主題歌タイアップ。全編にわたり壮大なストリングスが流れRPG感が強いが、バンド演奏そのものはかなりアグレッシブでアニのうねるようなベースラインが変態。バンドセットで聴くと、骨組み自体は広告に近い感じがした。

 

flash(2019.11.13)

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史上最もショートなふぅちゃん

flash

アニメタイアップ第3弾にして逆転満塁ホームラン。1番でアニメOPとしての役割を終えてからの、まるで組曲のような怒涛の展開、最終的にラスサビに最高のカタルシスとともに集束する。照井さんやりたい放題だよ!「神様がまだ~」の寺口パートが素晴らしい、あなたが神様だよ。
②パレードがはじまる

変態リズム地獄最終章。でもサビはきっちりポップ。発見でやったことをポップミュージックとして成立させる意図というか、flashでもそうだけど今まで別々の曲でアプローチしていた要素を1つの曲で複数織り交ぜて表現しようとしている感じ。
③踊り子たち

新居昭乃的退廃感のある変拍子ミディアムバラード。個人的サカナ最高傑作。こういう曲を表現し切れるようになった3人の成長も素晴らしいし、透明な怪物~蜃気楼の国から挑戦してきた表現がここに昇華した大名曲だと思う。

 

■deep blue(2020.08.05)

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海に還る

①信号

ドローン~エレクトロニカサウンドを前面に出しつつ、アンビエントソウル的なトレンドも取り入れた意欲作。普通のグループ、運営だったら夜空を全部パート2的なのを作ってきた可能性もあったかもしれないけど、最後まで3人と照井さんは今のサカナだからできることへの追及を止めなかった。個人的にはflash以降の路線の、アンビエントエレクトロニカ~ポストクラシカル色の強い3rdアルバムを聴いてみたかった。
クラウチングスタート
③夜空を全部
④魔法の言葉
⑤広告の街
⑥まぶしい
⑦Brand New Blue
⑧New Stranger
⑨夜間飛行
ribbon
⑪untie

サカナにとってのエピローグ。ピアノとストリングスで構成されたポストクラシカルな伴奏に3人による輪唱が泳ぐ。アルバムジャケットの様に3人が海に帰っていくことを示唆するような歌詞、最後の1節「君が生きている」に全てが込められている感じがする。

 

■総括

めちゃめちゃ時間かかった・・・これだけの曲をライブで4時間ぶっ通しでやった3人への畏敬の念がさらに増しました。

改めて、サカナの世界観って物理的な意味でも、また精神的な意味でも『別れ』の歌が多くて、当初から全てはいつか来るラストライブのために書かれたんじゃないかと思える曲が多い。未来へのノスタルジーみたいな。

 

大小の差はあれど、やっぱりサカナの曲がどれも好きだし、これからも聴くごとに色々思い出したり新しい発見したりするのだと思う。次回は思い出に残っているライブのエピソードを書きたいと思います。(続く)