2025年ベストアルバム

こんにちは、前段無しで始めます(マジで時間無かった)
30:I Heard That Noise/quickly,quickly

Graham Jonsonによるソロ・プロジェクトの2ndアルバム。スタイリッシュでビートに寄っていた前作と比べてフォーキーなサウンドと歌が前面に出た作風に。穏やな流れの中にギターの荒々しいフィードバックや不協和音が差し込まれたり、シンプルなフォークアルバムにはならないのはいかにもこの人らしい。
29:Never Enough/Turnstile

今作でグラミー賞にも複数ノミネート、ハードコアの枠を超えて現行ロックシーンの寵児となった5人組の通算3作目。前作にも感じた様々なジャンルを好奇心旺盛に取り込む姿勢が更に深化、ハードコアの軸はぶらさずより普遍性も見せた作品となった。個人的にはこのバンドは後述する311にも通じるミクスチャーロック的な陽を感じる部分が好き。
28:Touch/Tortoise

ポストロック~シカゴ音響派の代表格9年ぶりの新作。個人的に前作が全くピンと来なくて、メンバーのソロ/サイドワークの方がよっぽど良いじゃんとがっかりしたのだけど、今回は9年間のそれぞれの活動・嗜好を反映させつつちゃんとバンドとして作った作品という印象。シカゴを離れたメンバーもいて、それぞれ集まって限られた期間で集中して作った効果もあったのかも?いつになくロックなアプローチもあり、それと電子音とのコントラストが心地よい。
27:Based on the Best Seller/Sloan

カナダが誇るベテランパワーポップバンドの14作目、メンバーチェンジも無くコンスタントに良質なアルバムを出し続ける姿勢は本当に凄い。4人全員が曲を書きボーカルをとるビートルズスタイルは今作も変わらず、ジョージ&リンゴ的なJayとAndrewの2人の曲が絶品でアルバム全体のいい流れを作っている印象。
26:PLASTIC YOUTH/cinema staff

8作目のフルアルバム。打ち込みメインの楽曲や初のドラマー作曲、ラップの客演など新しいアプローチ満載だが、軸がぶれていない。今年国内の作品でピンとくるものが少なかったのだけど、今作はらしさと先進性が見事に共存していて、バンドとしても久々に会心作ではなかろうか?メジャーシーンでの成功と、ローカル・インディシーンに根差した活動を並行できているのは本当に理想的で尊敬する。
25:Full Bloom/311

ベテランミクスチャーロックバンドの14作目。ポップでポジティブな空気を感じる楽曲が多く、グルーヴィな楽器陣の演奏とツインボーカルのハーモニーもひたすら心地よい。メンバー不変で軸をぶらさず活動するスタンスは27位で挙げたSloanにも通じる(奇しくもアルバム枚数も同じ)し、個人的にレッチリと同じくらい評価されていいと思う。昨年の来日は体調不良で行き損ねたので来年こそ単独フルセットでの来日を望む!
24:Drumlin Loop/Trailcam

トロント出身のRita Mikhael によるソロプロジェクト、テクノ~エレクトロニカ~ヒップホップの間を行き来する多種多様なビートに時折インダストリアル的なノイズ不協和音が絡む。フロアで躍らせる強靭性もありつつも、ベクトルは内に向いていて没入感のある音作りが巧。
23:Live Laugh Love/Earl Sweatshirt

Odd Future出身のラッパー5作目のフルアルバム、アルケミストとコラボした前作の流れも汲んだようなミステリアスで独特な雰囲気を持ったビートにアールののらりくらりとしたラップが乗る。抽象絵画を眺めているような感覚で聴いているとあっという間に30分足らずのアルバムは終わってしまう。あれはなんだったのか?と何度聴いても輪郭は見えてこない。そのつかみどころのなさが心地よいという不思議な作品。
22:Where You Found Me/Stateside

カルフォルニア出身のポップパンクバンド、初のフルアルバム。Pure NoiseリリースということでKnuckle Puck直径のメランコリックなモダンポップパンクチューンもありつつ、このバンドは90年代後半~00年代のSaves The DayやNew Found Gloryあたりの自分にとっての青春時代のポップパンクの香りがするのが溜まらない。全体的にメンバーがエモ(芋)な感じなのも好印象笑
21:ANIMARU/Mei Simones

ブルックリン出身の”ポスト・ボサノヴァ”を標榜するSSW。母親が日本人ということもあり、曲の中で英語詞と日本語詞がびっくりするほどナチュラルに切り替わる。ボッサ・ジャズ・マスロックが融合したようなサウンドも個性的、しかしキャッチーなメロディーと柔らかな歌声がそれを難解に感じさせない。
20:Traveling Light/Rafel Toral

ポルトガル出身のギターアンビエントの先駆者の新作はジャズスタンダードのカバー集。とは言え安直なカバーにはならず、そこにあるのはギターのフィードバックや電子音で表現される原曲のおぼろげな輪郭。そこに一部サックスなどの管楽器がフィーチャーされることでジャズらしさも担保されている。氏の作品の中でも特段メロディアスで、アンビエントの入門編としてもおすすめできそう。
19:Tranquilizer/Oneohtrix Point Never

現代電子音楽シーンの第一線で活躍するOPNの新作、ノイジーな過激さや近年のメロディアスなアプローチは薄めでアンビエント~ニューエイジ的な素材がコラージュされている。インターネット上のサンプルライブラリの消失がきっかけとなった作品とのことだが、『精神安定剤』というタイトル通り冷徹で曖昧なサウンドの中に不思議と温もりと安心感を感じてしまう。
18:Entrance/Sissy Spacek

John Wiese と Charlie Mumma のよるノイズユニットの新作。グラインドコア的サウンドの印象が強いが、今作は複数のアーティストから提供されたインプロビゼーションをコラージュしたミュージック・コンクレート的作品。個人的にあまり踏み込んでいないジャンルだったが、意外とこうした音楽も心地よく聴けるとわかったのが今年の収穫の一つだった。
17:Horizon/Resvoir & Matt Gold

ResavoirことWill MillerとシカゴのシンガーソングライターMatt Goldのコラボ作。ブラジル音楽へのトリビュート的なコンセプトで作られたとのことで、サウンド端々に感じるボッサ・フォルクローレ的エッセンスが堪らない。21位に紹介したMei Simonesも客演していて、彼女の存在はこっち経由で知りました。リラックスしたいときにさらっと聴きたくなる穏やかでノスタルジックな名盤。
16:Jellywish/Florist

アンビエント作家としても活躍するEmily A. Sprague率いるフォーク~スロウコアバンドの5作目。前作が暗闇の中に差し込む光だとしたら今作は穏やかな陽光と言えるだろうか?優しいメロディと歌声、静謐ながら軽やかなバンドアンサンブルが美しい。Emily単独での来日はあったが、来年はバンドとしての来日に期待したい。
15:I Quit/HAIM

カリフォルニア出身の3姉妹の4作目。フォーク~トラッドに寄った前作の要素も残しつつバラエティーに富んだアレンジ、特に90'S~Y2Kポップスを感じる懐かしスタイリッシュなサウンドが印象的。シンプルな同じ節回しの様でメロディがじわじわと変化していったり、細部まで拘ったプロダクションは聴きごたえがあり、15曲というボリュームでも飽きさせない。でもやっぱりThe Farmみたいな牧歌的な曲にこのグループの真骨頂を感じてしまうな。
14:Melodía que va/Almalegria

現行ネオフォルクローレシーンの先駆者であるカルロス・アギーレの新作は6人編成のバンド形態。フォルクローレ~ジャズを軸にしつつも非常にパーカッシブ(ドラムは名手ゴンサロ・ディアス)で展開も複雑、これはアギーレ流プログレ、若しくはポスト・ネオフォルクローレとでも言えるか?ルシアーナ・インフランのボーカルを軸にしたコーラスワークがまた素晴らしく、彩り豊かなサウンドをより華やかにしている。
13:Eternal Youth/The Starting Line

2000年代に青くて甘酸っぱい名曲Best Of Meで一世を風靡したポップパンクバンドが18年ぶりに復活。これがHey Mercedesあたりを彷彿とさせるアダルトエモな内容でびっくり!ハスキンがSteady State Theoryで覚醒した時を彷彿させる突き抜けっぷりで、すっかり渋くなったKenのボーカルもハイトーンで上ずった時がちょっとイッソンぽい。もうBest Of Meを歌う姿は想像できないけどw、これはバンドとして正しい成熟の仕方じゃなかろうか?嬉しい驚きだった。
12:Blomovinho/Leo Blomov

フランス出身のSSWによるMPBオマージュ作品、これがカエターノやロー・ボルジェス(R.I.P)の未発表曲かと錯覚するくらいよく出来ている。一方でフレンチポップ的な洒脱さもしっかり活かされておりただのレトロな作品に終わらせないセンスが流石。ある種日本の渋谷系に近いアプローチなのかもと思ったり。
11:41 Longfield Street Late '80s/Kieran Hebden & William Tyler

Four TetことKieran Hebdenと、Lambchopなどで活躍したギタリスト William Tylerのコラボ作品、この2人の組み合わせということは今トレンドのギターアンビエント作品?と思いきやかなりルーツ寄りなアプローチもあれば、四つ打ちビートのエレクトロチューンまで両者の個性が複雑にぶつかり合う。ノスタルジックな空気を纏っているのにこれまで存在していなかったジャンルの音楽を聴くような…不思議な作品。
10:Sortilège/Preservation & Gabe 'Nandez

ニューオーリンズのDJ Preservationと、ニューヨークのラッパーGabe ‘Nandezのコラボ作品、Billy Woodsのレーベルからのリリース。所謂ヒップホップ的とは言えないような民俗音楽ぽい多種多様なビートがサンプリングされており、そこにGabeの淡々としたテンション低めのラップが乗ることでさらに呪術的な怪しさが倍増。ぱっと聴いて気持ちいいとかかっこいいとかそういうではないんだけど、この怪しさが妙に中毒性あって今年一番聴いたヒップホップ作品だった。
9:Gut/Baths

テクノ奏者的な印象の強かったBathsことWill Wiesenfeldだが、今作ではインディロック的なバンドサウンドにぐっと接近、元来彼が持っていたメロディのメランコリーと激情がより鮮明となった。もちろん十八番のエレクトロなサウンドも健在で、ダンスミュージックとしての快楽性も十二分に味わえる。アートワークや歌詞にもWillのゲイとしてのパーソナリティがより前面に出ており、ある意味これはベッドルームエモ。
8:Who Is the Sky?/David Byrne

恥ずかしながら自分は今年『ストップ・メイキング・センス』のリバイバルを観るまで、トーキングヘッズもデビッド・バーンもろくに触れてなかったんだけど、あの映画に衝撃を受けたタイミングでソロ新作が発売となった。鮮やかでサイケデリックで異国情緒があって捻くれているのにさらっとポップな楽曲に纏めてしまう。こんなすごい人に今まで気づかなかったことを反省。来年のサマソニの噂、ぜひ実現してほしい。
7:Welcome to My Blue Sky/Momma

正直昨今の第●次シューゲイザームーブメントには食傷気味なんだけど、こうした流れを汲んでそうなバンドの中でMommaだけはハマった。明確にマイブラにルーツを持ってそうなんだけど絶妙に芯を外してくる感じ、ポップであること、メロディアスであることを恐れてないスタンスが良い。個人的にはBreedersから果てはIncubusまで90-00年代のオルタナを総ざらいで彷彿させるのも好き。
6:Gemini/The Sure Fire Soul Ensemble

サンディエゴ出身の9人組、ファンク~ソウル~ジャズをスムースに行き来する心地よすぎるバンドアンサンブル。そこにエキゾチカやスピリチュアルジャズ的な要素まで加わったらもう極楽じゃないか!大所帯なんだけど踊ろうぜって感じではなく内向きで、1曲が短く纏まっていてアルバム全体で流れがあるところも凄く好き。
5:SUPERBUCLE/Yawners

スペインはマドリッドで活動するElena Nietoによるソロユニット。個人的にギターポップとスペイン語の組み合わせってすごく好きで、キュンキュンポップさが倍増する感じが堪らない。パワーポップフリークはもちろん、ポップパンク好きにも刺さるメロディラインやコード進行もあるし、ギターポップが好きって人でこれ嫌いになれる人いないでしょ?
4:És pregunta/Tarta Relena

カタルーニャの女性ヴォーカルデュオ。うっすらと電子音やビートがミニマルに差し込まれているが軸となるのは地中海の々な言語を操る幻想的なハーモニー。フォルクローレでありながら、さながらテクノのような反復性もあり、とんでもない中毒性。ビョークとか好きな人も意外とこれハマるんじゃないかという気がする。まずは一聴あれ。
3:Tunnel Vision/Beach Bunny

Lili Trifilio率いるシカゴのパワーポップバンドの3作目。前作はアヴリル以降のガールズオルタナを感じさせるラウドなギターが印象的だったが、今作は90'sインディロック的なギターサウンドとキュートでポップな要素が絶妙にマッチしている。Liliのスランプを乗り越えて作成したアルバムとのことだが、それを感じさせない楽曲揃い。Big Pink bubbleのような2分弱の曲をドラマチックかつキャッチーに纏めてくる才能は本当に凄い。
2:Bambi/Anxious

元One Step Closerのメンバーによるエモーショナルハードコアバンドの2作目。前作もジャンルに縛られないセンスを感じたが、今作ではJimmy Eat World的なオルタナエモ要素やクラシックロック的なハーモニーも取り入れ、完全に覚醒。ハードコア的な芯を残しつつも、メロディもアレンジの幅が広がりより広義のロックファンにもアピールできる作品となった。今年の来日公演ではバンドとしての成熟を見せつつ、変わらぬパンク小僧っぷりが最高だった。
1:Trying Not to Have a Thought/Algernon Cadwallader

まさかアルジャーノンが再結成するだけなく14年ぶりの新作をリリースするとは…!この手の時間が空いた再結成って、完全に別物になってたりすることも珍しくないけど、今作は真逆。過去の作品以上にアルジャーノンらしい作品を作ってきた。文句&捨て曲無しの傑作だし、バンド復活作のあるべき姿だと思うし、20年代エモの一つのベンチマークとなる作品だと思う。
30枚レビュー描くのがきつくなってきた…また来年(?)
2024年ベストアルバム

今年も年1の更新、なんとか間に合いました。前段考える気力が無いので早速始めます。年末年始暇な方はお付き合い下さい。
30位.The Three Times/Flight Mode

ノルウェー出身のインディ〜エモスリーピース。過去リリースしたEP3作のコンパイル盤で初のLPリリースとなった。1曲目から一気に心を掴まれる切なくキャッチーなメロディと疾走感はいかにも北欧という感じ、アレンジもメロディックなものからインディ寄りなものまで引き出しも多い。ジャンル云々語る前にまずは良質なメロディというスタンスはStarmarketやLast Days Of Aprilなどの北欧勢に通じる部分も。
29位. Aooo/Aooo

個人的女性ボーカル四天王の1人、石野理子(ex.アイドルネッサンス、ex.赤い公園)擁する4ピースバンドのデビュー作。個人でも活躍する気鋭の若手ミュージシャンの集まりだけあって、それぞれ自己主張の塊。各パートが遠慮なくぶつかり合うバキバキドンシャリサウンドの突き抜けっぷりには思わず笑ってしまうが、それらを全て内包してしまうような石野の歌声が相変わらず圧倒的。
28位.Daniel/Real Estate

現行ギターポップシーンを代表するバンドの6作目。近作ではよりルーツ的な音に向かっていた印象があり、今作はそこを引き継いだアコースティックな質感に加えて原点回帰的な浮遊感が絶妙に折衷されている。何よりアルバム全編に漂うのは過去一ポップな多幸感。穏やかな陽の光のようなギターサウンドとハーモニー、お世辞抜きでギターポップ好きで嫌いな人はいないはず。
27位.L.A. Times/Travis

90年代後半のポストブリットポップシーンを代表するスコットランド出身の4人組の10作目。比較的コンスタントに良質なアルバムを発表しているグループだが、フロントマンFran曰く代表作"The Man Who以来のパーソナルな作品"なだけあって、メロディの良さは抜群。一方でアレンジは相当遊んでおり、鍵盤メインの楽曲や表題曲ではスポークンスタイルにも挑戦するなど、30分と短い中でも聴き応えがある。
26位.Smile! :D/Poter Robinson

前作NurtureでEDM畑を超えて幅広い層から評価を受けたプロデューサー、SSWの3作目。昨年の来日公演で「始めたばかり」と言っていたギター(あっという間にものにしてしまうあたりやはり天才としか)をサウンドの軸に据えている。ギターポップ、フォークと電子音楽がクロスオーバーするサウンドはThe1975を彷彿とさせる部分も。エレクトロシューゲイザー的アプローチからクライマックスでEDMの高揚感が襲ってくるRussian Rouletteは今年のベストトラックの一つ。
25位.Slept In/Michael Louis

カリフォルニア在住のテクノ〜アンビエント奏者。なんとなくまとめ買いしたアンビエントのテープの中に偶々入っていた一枚だったが大当たりだった。漣のようなノイズの表面を漂うようなシンセのメロディライン。空気感こそアンビエントではあるがメロディや展開が豊富でニューエイジ的な印象もある。タイトル通り最高に心地よい入眠音楽。
24位.The Night the Zombies Came/Pixies

オルタナの源流の一つとなったレジェンドの通算10作目。再結成後バンドの良いアクセントとなっていたベースのPazが脱退(クビ?)、どうなるかと思ったが結果的に杞憂。新たに加入したEmma Richardsonのドライブ感のある太いベースラインがバンドアンサンブルを見事に若返らせた。フランクも筆が乗っているのか、前作に続いて良曲連発で頼もしい。特に①Primroseは再始動後最高傑作では?
23位.Fairweather Friend/The Umbrellas

あの頃のネオアコ、アノラックなギターポップを奏でるカリフォルニア出身男女混声4人組の2ndアルバム。前作に比べてリズム隊に躍動感があり、バンド感が強まった印象。中にはツービートで疾走するパンキッシュな曲も。ただの懐古趣味に終わらせない巧みなメロディ・アレンジセンス、やはり老舗Slumberlandリリースはまず外さない。
22位.Spiral in a Straight Line/Touché Amoré

もはや激情系の枠を超えて評価されているポストハードコアバンドの6作目。前作はカントリーなどより多様な音楽性を追求していたが、今作はRoss Robinsonプロデュースの影響?か原点回帰どころか先祖返りしたかのようなメロディックパンク〜ハードコアに驚き!でも決して混沌とはしておらず、どこか平熱感というか成熟したバンドが意図的に衝動的なアプローチをとったような面白さを感じる。
21位.Make It Fit/Karate

エモ〜スロウコアにジャズ的要素を落とし込んだ独自の音楽性でシーンで異彩を放っていたバンドのサプライズ復活作。十八番のジャズ的アプローチも健在だが、1曲目から過去作に無かったカラッとした陽の空気感に驚く。70年代のハードロックだったり、ちょいポリス風味だったり、ルーツロック的な楽曲と開放的な歌声が印象に残る。聴覚障害でバンド活動を休止したフロントマンGeoff Farinaが再びバンドメンバーと新しい音を鳴らすことができた喜びを感じる作品。
20位.Samurai/Lupe Fiasco

シカゴを代表するラッパーの9作目、故Amy Winehouseの発言にインスパイアされ「もし彼女がバトルラッパーだったら?」というユニークなコンセプトから発展して作成された。Amyの楽曲がサンプリングされているとかいうことはなく、LupeとSoundtrakkによるオールドスクールながらも決して古臭くならないトラックと、滑らかな切れ味のあるフロウは実にカッコいい。
19位.Unt/Pinhead Gunpowder

Greee DayのBilly Joe、CrimpshrineのAaron、MonsulaのJason&Billによるイーストベイオールスターズによる20年以上ぶりのサプライズ新作。今年出たGreen Dayの新作も個人的にはWarning以来の良作だったと思ったけど、それを更に上回ってきた。良い意味で何も変わらない古き良きイーストベイポップパンク、そうそうこういうのでいいんだよ!
18位.Shabason, Krgovich, Sage/Shabason, Krgovich, Sage

カナダのSSW、Nicholas Krgovichと多方面で活躍するサックス奏者Joseph Shabasonによるユニットにアンビエント奏者M. Sageが加わって作成されたアルバム。Shabason, Krgovichの本来の良さを損なうことなくSageの個性が見事に溶け合っており、非常に心地良いアンビエントポップに。Idaあたりを彷彿とさせるスロウコア感が化学反応として生まれているのも面白い。
17位.Paradise Pop. 10/Christian Lee Hutson

新進フォークSSWの3作目。傑作だった前作Quitters同様Phoebe Bridgersが全面的に制作に関わっている。切なくも暖かくポップなメロディで紡がれるフォークソングという基本は変わらずも、90'sオルタナへの憧憬を前面に出した楽曲が新機軸として印象に残る。特にスマパンのTodayをFOWがオマージュしたような②は超キラー。
16位.Summerland (Torpa or Nothing)/I Love Your Lifestyle

現行スウェディッシュエモの代表格の4作目。母国語を全面的に取り入れた楽曲が増え、その効果なのか切なさ倍増。なんとも言えないいなたさとキラキラしたギターサウンドのコントラストは日本語エモにも通じる化学反応がある。7曲という少なさだが不思議と物足りなさは感じない。全曲キラーチューン。
15位.Interplay/Ride

言わずと知れたシューゲイザーレジェンド、再結成後3作目。Pixiesもそうだが、まさかRideが再結成してコンスタントに新作を出すとは思わなんだ。先行曲からポストパンク色の強いアルバムを想像していたが、ギターポップ、サイケやエレクトロなど多彩な要素が複雑に絡んでいく万華鏡的作品となった。それでいて音が若々しく全く難解にならないのは流石。静から動へプログレッシブに変化する③や、爽やかに突き抜ける⑩などここ最近で一番シューゲイザーを感じる楽曲も。
14位.A Dream Is All We Know/The Lemon Twigs

ビンテージなロックサウンドを現代に蘇らせる職人兄弟ドゥオ。サイケでフォークな前作から1年の短いスパンでの新作リリースながら、今回も充実した内容。エレクリックなパワーポップへの原点回帰作と言えなくも無いが、ソングライティング・アレンジ・演奏どれも当時の100倍ブラッシュアップされており、やっつけ焼き直し感は全く無い。
13位.ACTO3/Fabio Cadore & Hernán Jacinto

現行ブラジルシーンを代表するSSWとアルゼンチンの気鋭ピアニストのドゥオ3作目。ジェントルな歌とギター、そして流麗なピアノというシンプルな構成でここまで情感豊かでドラマチックな作品が作れるのかと驚かされる。今年の南米ものでもずば抜けて良い作品だった。
12位. Bad Bad Hats/Bad Bad Hats

フロントウーマンKerry Alexanderを中心としたミネアポリス出身のロックバンド。メンバー脱退?の影響もあったのか前作のパワーポップ路線から打ち込みも多様したダンサブルなリフとビートが印象的な作風に。よりリフ主体で最初は平坦で地味に感じてしまうが、ふっと差し込まれるメランコリックなフレーズやメロディラインにやられてしまう。今年聴いた中で一番スルメだったかも。
11位.…Home Is So Far From Here/The Arrival Note

2022年にデビューしたフロリダ出身の4人組の初のフルアルバム。Hot Water Music的な漢気と後期Braid〜Hey Mercedesの切なさとトリッキーさが合わさったような高純度なLate90'sエモ感に1曲目から拳を突き上げたくなる。既発のEP2枚の時点で期待値は高かったが、それ以上の作品を届けてくれた。わかってるとしか言い様が無いジャケもGOOD。
10位.Every Little Scene/Ellen Doty

カナダ出身のSSW。前作Come Fallではピアノとドラムのみで真夜中の闇に沈むような静謐な世界を表現していたが、今回はベース・ストリングスなども導入し華やかさが加わり、曲によってはハウス的な味付けも。とは言え決してゴージャスにならず本来のミニマルな静謐さが失われないのはアレンジの妙、そしてEllenの繊細な歌声あってこそだろう。
9位.As It Ever Was, So It Will Be Again/The Decemberists

ポートランドのインディフォークロックバンドの6年ぶり新作。原点回帰的なフォークソングもありつつ、ラテン調だったりはたまた20分越えで最後にはクラシカルなハードロック化するプログレまで曲の振り幅はかなり広い。一番印象に残るのは④Long White VeilのようなREMオマージュ曲、ここまで違和感なくREMを感じさせるバンドはDecemberistsくらいではなかろうか?
8位. Suburban Eyes/Suburban Eyes

Eric Richter (Christie Front Drive)、Jeremy Gomez (Mineral, The Gloria Record)、John Anderson (Boys Life) の90'sエモオールスターで結成された新バンドのデビュー作。シューゲイザー〜ドリームポップの影響を強く受けたギターポップといった印象で、完全に非エモ的作品ではあるが、Ericが80's〜90'sのUKロックから強い影響を受けていることはGolden Cityなどの過去のバンドの作品を聴いていれば明白でさほど違和感ない。何よりベテランと言っていい年齢に差し掛かっても瑞々しさを失わないEricのソングライティングには畏れいる。
7位.Third Wind/Gulfer

カナダ出身のエモリバイバルバンドの4作目、残念ながらこれがラストアルバムとなった。メインソングライターが交代し、かつてのトゥインクルな要素は残しつつも一気にインディロック寄りの作風に。エレクトロニカ〜アンビエント的要素も取り入れた意欲的な作品だが、何よりまず曲がいい。ここから界隈を超えて評価される予感しかなかったので、これで解散は勿体無いなあ。
6位.Only God Was Above Us/Vampire Weekend

現行USロックシーンを代表するニューヨーク出身の3人組、待望の5作目。1曲目からVWらしさに立ち返ったとも言える空気感、3.4作目で顕著だったポール・サイモン的アフリカンアプローチは弱まり、ジャズ的だったりエスニックだったり東欧風だったり遊び心のあるリフ・展開が増えた。やっぱりVWはロックバンドなんだと痛感させられる快作。来年は来日して欲しい。
5位.Rain Or Shine/Hanemoon

ベルリン在住のHans Forsterによるバンド(ソロユニット?)。1曲目から思わず胸を締め付けられるようなギターポップが炸裂。例えるならば「TFCのジェリーがバンド脱退後に渡米して新たなバンドを結成したら?」みたいなところだろうか(伝われ)?この超高純度なグラスゴー×USインディ感、ギターポップフリークは必聴。
4位.The Auditorium, Vol. 1./Common & Pete Rock

ありそうで無かった夢のコラボレーション、やはりCommonのフロウはオールドスクールなトラックでこそ活きる。勿論Pete Rockのトラックもただの90年代の焼き直しでは無く、現役バリバリのプロデューサーであることを見せつけている。ヒップホップは時代ごとにトレンドが明確に変遷するジャンルだが、今作のようなタイムレスなアルバムをずっと待っていたのかもしれない。
3位.Smitten/Pale Waves

マンチェスター出身の4人組の4作目。正直前作まではインスパイア元はわかるけどどっち付かずというか、このバンドの志向するものが見えづらかったのだけど、今作で一気に視界が開けた。Cocteau TwinsやThe Sundays的なクリーンで浮遊感のあるギターサウンドを軸に、80'sUKロック〜90-00年代の北欧ポップロック〜アヴリル的00'sガールズロックが絶妙なバランスで共存している。全曲シングルカット可能な質とキャッチーさ、緩急をつけて最後まで全くダレない構成も見事。
2位.Permanent Repeat/Macseal

ロングアイランド出身のエモ・パワーポップバンドの2作目となるフルアルバム。今年待望の初来日も果たし、素晴らしいパフォーマンスを披露した。初期は正統派のトゥインクルなエモパンク路線だったが、今作はより普遍的なパワーポップにシフトしている。個人的にはWheatusやNine Daysあたりの90-00年代にスマッシュヒットしたUSオルタナの香りがするのが堪らない。タイトル通り何度も繰り返し聴きたくなる、誰もが好きになるであろう優しさ親しみやすさに満ちた傑作。
1位.Hey Panda /The High Llamas

30年以上に渡ってインディポップシーンで活躍するSean O'Haganによるユニットの新作。持ち前のビーチボーイズなどをルーツに持つクラシカルなチェンバーポップに、今作はR&Bやヒップホップにインスパイアされたエレクトロなエッセンスが融合している。これが可愛いタイトル・ジャケと合間って本当に心地よく幸せなモンドラウンジミュージックに仕上がっていて、Seanのポップ職人としてのセンスに改めて感服させられる。ベテランになっても新しい音への追求を止めない姿勢にリスペクト!
やっぱり自分はポップで心地よいな音楽が好きなんだなーってここ数年改めて思いますね。流行りには益々疎くなってきましたが、自分で良いと思う音が聴ければそれで良し。
2023年ベストアルバム

年一しか稼働しないブログの更新の時期がやって参りました。本当歳取ると一年が早い…
今年は来日公演にも、
・Peter Gallway
・June of 44
・Poter Robinson
・Ride
・Summer Sonic(Fall Out Boy,Blur etc...)
・Their/They're/There
・Khotin
・Anxious
・The Hotelier/Origami Angel/Oso Oso/Prince Daddy & Hyena
と沢山行けて、いよいよエンタメ業界も平常運転に戻ってきた実感がありました。そんな2023年を振り返りつつぼんやり決めた30枚です。
30位:Lies/Lies

まさかの再結成&大ブレークを果たしてしまったAmerican Footballのマイク・キンセラと従兄弟のネイト・キンセラのユニットによるデビューアルバム。アメフトと併行してこの2人でやる意味とは…?と最初は思いつつ中身を聞くと納得。エレクトロ〜シンセポップ的なアレンジで、そこにいつものマイク節が乗るとかなり新鮮。曲自体も最近のマイク関連作品の中でも泣き要素強めでかなり良い出来。サポートを入れずに2人だけで敢行した来日公演もサンプラーと生&電子ドラムを同時に操りサウンドメイクを一手に引き受けるネイトの大活躍っぷりが印象的だった。
LIES - Resurrection [OFFICIAL MUSIC VIDEO] - YouTube
29位:Knower Forever/Knower

昨年リリースのアルバム・来日公演ともに素晴らしかったルイス・コールとその公演でオープニングアクトとサポートメンバーと務めたジェネヴィーヴ・アルターディによるユニット。身も蓋もない言い方をするとルイス・コール印なサウンドとメロディをジェネヴィーヴが歌うという感じなんだけど、それが驚くほど新鮮に響く。ノスタルジックなのに未来的、前衛的なのに只管美しい、そんなソウルミュージック。
28位:愛の太陽/くるり

オリジナルドラマーのもっくんが全面参加した『感覚は道標』もヘンテコかつメロディアスでとてもくるりらしいアルバムだったが、個人的にはEPとしてリリースされたこちらを推したい。ミニアルバムとは言えここまでメロディメイカー岸田繁を前面に押し出した作品は初めてではなかろうか?④の『ポケットの中』は個人的にくるりベストソングの一つになった。
27位:El mundo no se hizo en dos días/Pedro Aznar

セル・ヒランやパット・メセニーグループなどで活躍したアルゼンチンを代表するベテランSSWの2枚組新作。フォルクローレ、ラテンポップスを軸にしつつ、クラシックロック・プログレ・ヒップホップ等多彩なジャンルを混ぜ込んでいくスタイルは変わらずで、情感溢れる歌声とベースプレイの両面を堪能できる。ジョン・レジェンドのスペイン語カバーも秀逸。
Pedro Aznar - Todo De Mi (Versión en Español) - YouTube
26位:ムーンライトストリート/うさぎのみみっく!!

元々は福岡をベースに活動していたアイドルグループの初のフルアルバム。川上きらら(推しメン)、新山ひなの既存メンバーに新メンバーとして井出ちよの(3776)と荒瀬みうを迎え実力者揃い新体制となった本作、ジャンルや楽曲派的観念に囚われないドリーミーなアイドルポップスの玉手箱のようなアルバムとなった。初見の度肝を抜くコーラスワークス、曲展開で話題のシンメトリックも収録。
うさぎのみみっく!!『アンジュのジュネーズ』 - YouTube
25位:Long Light/Lusine

90年代後半からエレクトロニカシーンを牽引するベテランの6年ぶりとなる9作目。一聴してLusineとわかる浮遊感のある上物と硬いビート、ゲストボーカルの使い方も巧みで心地よくサウンドの中に溶け込んでいる。チル過ぎずダンサブル過ぎずの絶妙なラインは最早職人芸。ポストクラシカル的な新境地のアプローチも。
Lusine - Zero to Sixty (ft. Sarah Jaffe) [Official Video] - YouTube
24位:Make The Most Of It/New Found Glory

25年以上に渡ってポップパンクシーンで活躍するNFG初のアコースティックアルバム。チャド・ギルバートの癌闘病に触発されて制作した新曲群が出色の出来、既発曲のアコースティックアレンジも改めて原曲の素晴らしさを実感できる。あえてパーカッションを入れず(ドラムのサイラスはリズムギターを担当)、ギター・ベースのみのアレンジがメロディを引き立てて実に沁みる…
New Found Glory - Dream Born Again (Official Music Video) - YouTube
23位:Losing What We Love/Knuckle Puck

現行ポップパンクシーンを代表する5人組の4作目。前作『20:20』は開放的でパンクに囚われない作風が印象的だったが、Pure Noiseに移籍した今作は本来のメランコリックでエモーショナルなパンクに回帰しつつも前作で得たアレンジの幅も活かしたバランス良い内容に。ベテランが気を吐く一方で、現行勢もコンスタントに活きのいい作品を連発する今のパンクシーンの状況は本当に刺激的。
Knuckle Puck "The Tower" (Official Music Video) - YouTube
22位:Norm/Andy Shauf

稀代のソングライターにしてストーリーテラーの4作目。とある男の偏執的な横恋慕を複数視点で描写する不穏な内容とは裏腹に、楽曲は従来のフォーキーなアプローチに比べるとソウル風味でほんの少しアッパーでダンサブルに感じるところも面白い。柔らかな音の余韻と曖昧な解釈を残して閉じる物語、音楽で一冊の小説を読んだように感じるのはこの人ならではだろう。
Andy Shauf - "Wasted On You" - YouTube
21位:But Here We Are/Foo Fighters

ドラマー、テイラー・ホーキンスの急逝後初のアルバム。序盤2曲こそかつてのフーファイを彷彿とさせるアッパーなオルタナチューンだがそれ以降はミドルテンポの時に重厚、時に静謐なナンバーが続く。只管歌われる喪失感と悲しみから脱却しようとする足掻き。弟分と母を喪ったデイブ・グロールにとってこのアルバム作成そのものがセラピーだったのは想像に難くない。10分超えの大作The Teacherのラストでデイブが叫ぶ"Goodbye"はあまりにも重い。精神を消耗する作品だけど、だからこそ聴く意味がある。
Foo Fighters - The Teacher - YouTube
20位:All That Was East Is West of Me Now/Glen Hansard

アイルランドの国民的バンドThe Framesのフロントマンであり、初期バンドメンバーでもあったジョン・カーニー監督の映画ONCEをきっかけに世界的に有名になったSSWの新作。ソロ活動を軸に移してからはフォーク・カントリー要素をどんどん強めていたが、今作ではエレクトリックギターが多用され、バンド時代を彷彿とさせる荒々しさとエモーションを感じる曲もある。キャリアを重ねた渋みと、未だに若々しいメロディの煌めきと衝動性が絶妙に重なってグッとくる。
Glen Hansard - "The Feast Of St. John" - YouTube
19位:Stowaway/Samiam

30年以上のキャリアを誇るベテランメロディックパンクバンドの12年ぶりの新作。リリース期間が空いてもSamiam印のサッドかつキャッチーなパンクチューンは変わらずだし、今作ではアメリカンオルタナ要素強めの楽曲もあり新鮮さもある。セルジよりショーンの書いた曲が多い影響もあるか?進化・成熟を見せつつも軸をぶらさない姿勢は頼もしい限り。
Samiam "Lake Speed" (Official Music Video) - YouTube
18位:Happy Music/Supershy

今や次世代ソウル・R&Bシーンの代表格となったトム・ミッシュによる変名ダンスミュージックプロジェクトのフルアルバム。タイトルの通りひたすらキャッチーで多幸感溢れる楽曲が並ぶ。いい意味で捻りの無い直球感はソングライティングに自信があるゆえだろう。個人的には2016年最高傑作だったSkyker SpenceのProm Kingを彷彿とさせたり。今年一番「そうそう、ダンスミュージックってこういうのでいいんだよ」と思った一枚。
Supershy - Happy Music (Official Video) - YouTube
17位:Almost There/Grapevine

約2年振り18作目の新作。活動が殆ど途切れることなくコンスタントにアルバムを出し続けるのは本当に凄い。前作『新しい果実』はネオソウル的なアプローチに挑戦するなど新機軸を見せたが、今作はそこから更に深化させた印象。フロントマン田中和将がここに来て何度目かの覚醒、詞も曲もボーカルも遠慮無しの振り切れっぷり。それに触発されたかのように亀井亨もキラーチューンを連発し、西川弘剛のギターも冴え渡る。例のあまり炎上しなかったスキャンダルが発端なのかはわからないけど笑、結果的に素晴らしい作品に帰結したのは痛快としか言いようが無い。
GRAPEVINE – 雀の子(Official Lyric Video) - YouTube
16位:The Window/Ratboys

シカゴのインディロックバンドの4作目。バンド形態になって初の作品だった前作Printer's Devilはその年のベストアルバムの一つにも挙げた傑作だったので、今作がどう転ぶか気になっていたが杞憂だった。前作のアグレッシブさを引き継ぎつつも、アルバム全体にアトモスフェリックな空気感が漂うのはプロデューサーのクリス・ワラの影響か?楽曲の即効性という意味では前作かもしれないが、アルバムトータルの完成度では圧倒的に今作。
"It's Alive!" by Ratboys (official video) - YouTube
15位:Jump for Joy/Hiss Golden Messenger

M.C.テイラーによるソロプロジェクトの新作。19年作『Terms Of Surrender』個人的にその年のトップ作だった。毎回安定して良質なアメリカーナを提供しているが、今作は60-70年代のフォークロック総浚いといった感じの内容でバラエティ豊かな楽曲が並ぶ。テイラーの本領はシンプルなフォークソングだと思うのだけど、ある程度アグレッシブな曲や遊び心のある曲があった方がそれが引き立つ。
Hiss Golden Messenger - Nu-Grape (Official Video) - YouTube
14位:The Ballad Of Darren/Blur

ご存知ブリットポップムーブメントをオアシスと共に牽引したバンドの8年振りの新作。自分は元々完全にオアシス派なのだが、ギャラガー兄弟の新作を差し置いてブラーの新作をランクインさせているのは結構異常事態だったりする笑。決して派手さは無いが老獪で捻くれていてそれでいて飛び切りポップでノスタルジック一辺倒にもならない絶妙さ。解散しなかったバンドの強かさを感じる。改めてグレアム・コクソンのヘンテコなギターフレーズ、奇才っぷりにはびびる。
Blur - Barbaric (Live) - YouTube
13位:Fuse/Everything But The Girl

まさかリアルタイムでEBTGの新作のリリースに立ち会えるとは…!音楽界きってのおしどり夫婦として知られながらそれぞれソロ活動に勤しんでいたのでほぼ諦めていただけに驚きだった。前作Temperametalから24年間冷凍して解凍したようなエレクトロチューンは3周くらい回って今のトレンドと合致しているようにすら感じる。ヒンヤリとしているのにどこか心地よいシンセの音色の重なりとトレイシーの歌声に只々溺れていく。絶品。
Everything But The Girl - Run A Red Light - YouTube
12位:Release Spirit/Khotin

カナダ出身のアンビエントアーティストの新作。柔らかなシンセの音色を軸にチルなビート、フィールドレコーディングやサンプリングサウンドが重ねられていく。初めてボーカルをフィーチャーした楽曲が収録されるなど、従来の白昼夢のようなサウンドはそのままによりビートオリエンテッドになった印象。フロアでは無く明け方にベッドルームで鳴らされるダンスミュージック。
Khotin - Fountain, Growth (ft. Tess Roby) (Official Video) - YouTube
11位:Altering a Memory/Feverchild

デビューEPが話題となったベルギー出身のエモ・ポストハードコアバンドの初のフルレングス。Sunny Day Real Estateからの影響を色濃く感じさせるも、ギターアプローチはニュースクールハードコアのエッジーさを感じるし、ボーカルやメロディはThe Get Up Kidsみを感じる時もある。つまるところどこから切り取っても90sエモ好きにとっては号泣必至な作品なのである。
10位:Seven Psalms/Paul Simon

説明不要の大御所による5年振りの新作は7つの楽章からなる33分の組曲。アンビエントな音色やスライドギター、管楽器やコーラスなどが味付け程度に入るがあくまでメインはアコースティックギター1本の弾き語り。82歳とは思えない躍動感のあるギター演奏と情感に満ちた歌声に圧倒される。アフリカ音楽など様々なアプローチに挑戦してきた中で、シンプルで荘厳なフォークミュージックに回帰してきたのはとても興味深い。
9位:Carousel Circle/Carnation

40年のキャリアを誇るベテランバンドの19作目。コロナ禍の抑圧感が色濃く反映された前作から一転、1曲目『ここから - Into the Light』の希望と解放感に満ちたイントロから一気にワクワクさせられる。全体的にポップで適度に捻くれたこれぞカーネーション!という楽曲揃いで、太田譲が初めてカーネーションとして曲を書きボーカルをとった『深ミドリ』も絶妙なアクセントに。ここに来てこんな若々しくキラキラした作品を作ってしまう2人に感嘆…!
8位:Lean In/Gretchen Parlato & Lionel Loueke

現代ジャズシーンを代表するボーカリストとギタリストによる初のコラボ作。リオネルのパーカッシブなギター演奏とスキャット(?)にグレッチェンの独特のリズム感と透明感のあるボーカルが乗り、南米とアフリカの音楽がジャズで融合する唯一無二のサウンドになっている。Foo Fightersの名曲『Walking After You』のカバーも白眉の出来。
7位:Everything Harmony/The Lemon Twigs

様々なクラシックロックを現代に蘇らせる兄弟ユニットによる4作目。今回は「Simon & Garfunkel、Arthur Russell、Moondogにインスパイアされた」そうで確かにジャケもフォークドゥオっぽい。キラキラと洗練されたフォークロック〜ギターポップチューン満載で、Grand PrixあたりのTFCに通じる部分も。アルバムによってコンセプトがガラッと変わるグループだけど、今作は個人的には一番しっくり来たし最高傑作だと思う。
The Lemon Twigs - In My Head (Official Video) - YouTube
6位:One More Time…/Blink-182

一時代を築いたポップパンクバンドが、トム・マーク・トラヴィスの黄金期ラインナップで復活。しかも1曲目から『Anthem part.3』なんて曲から始まったら泣きますわ。純然たるポップパンクナンバーもあれば、それぞれの活動で培った音楽性が反映された曲もあるが、トムとマークのツインボーカルでやったらそれは自然とブリンクになってしまう。交互にボーカルを取る曲多めなのも、必死に関係修復しようとした意図が見えて微笑ましい。前任のAlkaline Trioのマットがいた時期の作品も悪く無かったけど、ライブでトムの曲を歌うマットは無理してる感満載だったので本当に良い元さやだったと思う。
blink-182 - ANTHEM PART 3 (Live Performance Video) - YouTube
5位:Quartet Plus Two/Orbiting Human Circus

Neutral Milk HotelのオリジナルメンバーでありElephant 6の主宰者でもあるジュリアン・コスターを中心としたカルテット。ジャケットから漂ってくるノスタルジーそのままに、再生するとモノクロームの時代の風景が脳裏に浮かんでくるような音楽。只管耳に心地良い少し不思議なジャズ。形容するのも野暮な気がするのでまず聴いて欲しい。
Orbiting Human Circus - I Cover the Waterfront (Official Visualizer) - YouTube
4位:Fools/Dan Croll

リバプール出身ロサンゼルス在住のSSW。その経歴通りの音というか笑、英国人らしいウェットさとカリフォルニアのカラッとしたフィーリングが絶妙にミックスされている。⑧『Piece Of The Action』なんかは故郷の大先輩ポール・マッカートニーの未発表かと錯覚するくらい巧みなオマージュになっているし、FOWぽさも感じる。所謂ポップマエストロ系のSSW・バンドが好きな人なら確実に刺さる曲があるはず。
3位:Leather Blvd./B. Cool-Aid

ラッパーPINK SIIFUとプロデューサーのAHWLEEによるデュオ。ジャンルとしてはヒップホップなのだろうが、ソウル・R&B、ファンクなどなどブラックミュージック総浚いな感じの心地良いノスタルジックな曖昧さ。1時間超えの最近では珍しく長尺のアルバムではあるが、日常のBGMとしてサラッと聴き流すも良し、ベースラインやビートに耳を傾けてトラックに没入するも良しで、長さを感じさせない密度と適度な気軽さがある。
2位:Brightest Days/Origami Angel

デビュー以降着実にパンク〜エモキッズの支持を拡大しているツーピースによる新作。今年待望の初来日も果たした。ウクレレから始まる①や爆音サーフロック②など今までに無かったアレンジや構成の妙を見せつつも、あくまで軸は明快でポップなパンクロックなのは変わらず。出し惜しみ無しにポップなメロディ思わずニンマリ。歌われるのはあの頃一番楽しかった夏、2度と戻れない10代のあの感情、8曲のミックステープという短さ・コンセプトも刹那的で丁度良い。
Origami Angel - Thank You, New Jersey (Official Music Video) - YouTube
1位:Would You Miss It?/KOYO

ニューヨーク出身のエモーショナルハードコアバンドの初のフルアルバム。個人的にボーカルの厳つい見た目でオールドスクール系だと思って敬遠していたのだけど笑、聴いてみたらびっくり!現行ポップパンクから00年代のエモ、更には往年のSamiamのようなエモーショナルメロディックまで幅広い影響を感じさせるバンドサウンドに乗せて、切ないメロディ&激しいボーカルで歌い上げる。バンド名は日本語の紅葉から取ったという。侘び寂びに通じるサッド感に溢れた今年を代表するパンク盤となった。来年1月に待望の初来日、楽しみ過ぎる!
Koyo "You're On The List (Minus One)" (Official Music Video) - YouTube
こんな感じでした、今年は割とジャンルバランス良い感じ?10月以降にこれは!っというリリースがあって結構悩みました。ライブ行く時間が増えた分ここ数年のコロナ禍より音楽を聴く時間は少くなった…というか聴く枚数は若干減って一枚一枚しっかり聴くようになった気もしますね。物価高もあるけど、「このアーティストは毎回買ってるから」みたいな感じで新譜買えなくなった。なんにせよ、感覚的に良いと感じたものが全て、その気持ちは忘れずにまた来年(?)
2022年ベストアルバム

年一の更新です。歳をとるごとに一年があっという間に感じる今日この頃、2022年に聴くべき盤を聴き切れたかと問われると凄く自信がありませんが、今年もシンプルに「良い!」と思った作品を30枚選んでみました。
30位:The Long Way, The Slow Way/Camp Trash

昨年リリースのデビュー7インチが界隈で話題となったフロリダのエモ〜パワーポップ4ピースの初のアルバム。SuperchunkやApples In Stereoあたりのインディギターロック〜初期TGUKあたりのパンキッシュなエモの影響を感じるサウンドとメロディはまず嫌いな人がいないやつ。ミドルテンポの楽曲を効果的に配置して最後までテンションが落ちない構成は新人バンドらしからぬ職人気質も感じる。
Camp Trash- Let It Ride (OFFICIAL VIDEO) - YouTube
29位:God Save the Animals/Alex G

名義を(Sandy)Alex G→Alex Gに戻しての新作。(Sandy)期の作品は比較的モダンで素直にメロディアスなアプローチが増えていたが、今作はよりハイファイでジャンルレスなプロダクションながら初期作にも通じる不気味で不安なアレンジが戻ってきた。コロナ禍の混沌がそのまま音になったようなアンバランスさが不思議と耳に心地よい。そんな中終盤にふっと投入されるMiraclesは過去最高に美しい曲。
28位:Will Of The People/Muse

ジョン・レノン、クイーン、マリリンマンソンをごった煮にしたような①からガッツポーズ!個人的にMUSEというバンドの魅力は過剰性だと思っているので、バンドサウンド〜エレクトロサウンドの両面でカッコ良さもダサさ(⑥とかMUSE以外のバンドがやったらブチ切れ案件w)も全開にした今作は久々の快作。スケール感のある楽曲は確実に大箱のライブで映えそう。
MUSE - WILL OF THE PEOPLE [Official Music Video] - YouTube
27位:Their/Their're/Three / Their/They're/There

現行エモシーン最重要人物Evan WeissがInto It,Over It、Pet Symmetryと併行して活動しているエモリバイバルバンドの初アルバム。すっかり売れっ子になったMike Kinsellaは脱退してしまったものの後任ドラマーJaredのプレイはMatthewの変則タッピングギターとの相性も良く、最近のEvanの作品の中で最も正統派エモ的な激しさを感じる一枚に。
A Symphony of Sparrows - YouTube
26位:Octante/Delfina Mancardo

アルゼンチンの新鋭SSWのデビューアルバム。まず再生して一音目のピアノにハッとさせられる。ネオフォルクローレ的なサウンドを軸にしつつもメロディはジャズ〜ポップス的な要素も濃いめで、ノラ・ジョーンズなどのジャズ畑の女性SSWが好きな人でもスッと受け入れられるのでは?
Little Red Boat - Delfina Mancardo - YouTube
25位:It's Deliberate/Peter Gallway & The Real Band

Fifth Avenue Band,Ohio Knoxなどで活動してきたベテランSSWの新作。シンプルで無骨なバンドアンサンブル、淡々とビターな中にもふっと彩りを感じるようなメロディラインは最早職人芸。過剰でも過少でも無いこのオールドファッションなサウンドは今の時代には逆に新鮮に、個性的に感じる。ボス、ブルース・スプリングスティーンが推薦文を書いているのも改めてミュージシャンズミュージシャンとしての影響力の大きさに驚く。
Peter Gallway & The Real Band "It's Deliberate" - YouTube
24位:World Record/TWEEDEES

元Cymbalsの沖井礼二とシンガー清浦夏実によるユニットの4年ぶりとなる4作目。個人的には大傑作のデビュー作以降の作品は若干しっくりこない部分もあったけど、今作は爽やかかつ躍動的な①②の流れで一発ノックアウト。人力sine(Cymbalsの3rdアルバム)とでも言うべき?ロック要素薄めなのにドライブ感があるポップミュージックのメリーゴーランド。Soleil、竹達彩奈提供曲のセルフカバーも絶妙。
TWEEDEES - Victoria (Offical Video) - YouTube
23位:erewhon/erewhon

佐々木喫茶が全面プロデュースを手がけるティーンズアイドルグループのデビューミニアルバム。喫茶節全開のどポップでキャッチーなエレクトロチューンとあどけない歌声の相性は抜群。特に①"りぴりぴ"は今年のベストアイドルソング&MV(百合的世界観が最高)の一つに挙げたい。永眠すみれちゃん推しです。
22位:Hugo/Loyle Carner

サウスロンドンのヒップホップシーンの代表格となったラッパーの3作目。これまでのネオソウル的な作風から一変、ジャズやゴスペルに寄せたマイナーコードで哀愁を帯びたトラックが印象的。自身のパーソナリティや社会問題に切り込んだダークでシリアスな内容ながら、怒りの感情を前面に出さないロイルのラップが絶妙なフラット感というか暗くなり過ぎずのバランスを保っている。
21位:Squeeze/SASAMI

前作では穏やかでチルなギターポップを奏でていたLAで活動する韓国系SSWが新作で脅威の変貌。日本の妖怪にインスピレーションを受けたビジュアル、ポストメタル・インダストリアルからの影響を前面に出したサウンドに。一方で前作からのフォーキーな楽曲も健在で、両極端なのにアルバムとして自然な流れになっているのはどんなアレンジでも根底にあるヒンヤリとしたメロディゆえだろうか?
SASAMI - Skin A Rat (Official Audio) - YouTube
20位:CAARRS/PENPALS

90年代後半〜00年代前半にかけてスマッシュヒットを飛ばしたオルタナ〜パワーポップバンドによる18年ぶりの新作。昨年同一メンバーによるAFOK名義でのリリースはあったが、ダークでグランジ色の強かったAFOKと比べると今作は最初期のPENPALSが戻ってきたかのようなローファイでオルタナでポップなサウンドに一曲目から快哉を叫びたくなる。最高のカムバックアルバム!
19位:11:11/Pinegrove

Pinegroveは個人的に「良いのはわかるけど、インディロックシーンの救世主扱いされるには過大評価じゃね?」とずっと思っていたのだけど、今作は正直めちゃめちゃ良かった。②の速くて短いAlaskaがアルバム全体の滑走路的な役割となって、それ以降はずっとミドルテンポなのに最後までダレない。唐突にスパッと終わるアルバムラストも良い。
Pinegrove - "Alaska" (Official Lyric Video) - YouTube
18位:Steady/Sloan

カナダのビートルズ、パワーポップの至宝Sloanの13thアルバム。メンバー4人それぞれが曲を書き歌う不変のスタイルで届けられるキャッチーな楽曲。無駄の無い骨太な演奏に、美麗なコーラスワーク。今これほどシンプルにロックを聴いた気持ちになるアルバムがどれだけあるか?Steady(地道・着実)という言葉が本当に似合うバンド、リスペクト!
Sloan - Scratch The Surface - YouTube
17位:EBM/Editors

Benjamin John Power (Blanck Mass)が加入後初のアルバム。オリジナルギタリストの脱退でテクノ〜ニューウェーブ路線に進んだ3rdアルバム以降の物足りなさが嘘のような振り切れ方。これは1stアルバムThe Back Roomのキレと衝動性を全く違うアプローチでぶつけたアルバムだ。攻撃的なエレクトロサウンドと荒ぶるビートに耽美なメロディ、ロックバンド的ダイナミズムが見事に融合した傑作。
Editors - Picturesque (Official Video) - YouTube
16位:Quality Over Opinion/Louis Cole

ドラマー・プロデューサーとしても活躍する多彩なアーティストの4年ぶりの新作。デジタルファンクを突き詰めた前作の流れを汲んだ楽曲も勿論あるが、今作で印象に残るのはSSWルイス・コールのメロディメイカー、シンガーとしての実力。一聴するととりとめがないように感じる楽曲群も聴き終わる頃にはすっきり纏まってしまうのも不思議。12月の来日公演も素晴らしかった。
Not Needed Anymore - Louis Cole - YouTube
15位:Jacob's Ladder/Brad Mehldau

毎年精力的に多様な作品を作り続けるジャズピアニストの新作はメルドー流プログレッシブロック。ピアノのみならず攻撃的なシンセのフレーズや、メルドー作品では珍しいボーカル、アジテートやアコギも導入するなど、これまでもチラ見せしていたクラシックロックへの造詣の深さを前面に出している。素直にカッコいい!の一言。
14位:マーブルワールド/com

自分が現代アイドルの音楽が好きなのは、雑多なジャンルを多種多様なアプローチでポップミュージックに落とし込んでいるから。今年一番それを感じた作品がこれ。3→4人体制になるにあたって作成した全曲新曲の初のフルアルバム。ジャンルレスなサウンド、躍動感のある複雑なリズム、でもしっかりポップ、4者4様の華やかなボーカル、これぞアイドルだからできるアプローチ。藤谷寧々ちゃん推しです。
comme moi-アグリーダックリング[MUSIC VIDEO] - YouTube
13位:Waiting for the End to Begin/Overo

Perfect FutureとFootball Etc.のメンバー2名ずつで結成されたポストHCバンドの2ndアルバム。時に叫び、時に冷淡に歌い呟くBrendanとLindsayによる男女ツインボーカルは破壊力抜群。クリーン⇄バーストパートを巧みに使い分けた緩急のある展開に、今作は菅弦楽器も導入しよりドラマチックなサウンドに。リバイバル勢や現行激情勢とは一線を画す滅びの美学を感じるエモ。
Overo - Walls [Music Video] - YouTube
12位:Doggerel/Pixies

再結成後4作目となる3年ぶりのアルバム。再結成当初はフランク・ブラックのソロをピクシーズサウンドでやってる感、若干ポップ過ぎる気配があったが今作で遂にフランクもバンドも完全ピクシーズモードになった感。適度に捻くれ適度にポップな絶妙なバランスが帰ってきて、楽曲のクオリティも初期の傑作に劣らない。メインボーカルの曲は無いもののパズのコーラス、ベースがいい仕事しまくっていて影のMVP。来日公演でも現役ライブバンドっぷりを思う存分発揮してくれて頼もしかった。
Pixies - Nomatterday (Official Lyric Video) - YouTube
11位:At Scaramouche/Shabason & Krgovich

サックスプレイヤー兼アンビエントミュージシャンと職人ポップスを奏でるSSWによるカナダ人同士のデュオ作。Shabasonのソロ作は以前から愛聴していたが、彼のアンビエントサウンドが歌物にこれほどしっくりくるとは嬉しい驚き。ニューエイジ的サウンドに穏やかな歌声とメロディ、そこに漂うアンビエンス、完璧な心地良さ。
Shabason & Krgovich / I Am So Happy With My Little Dog - YouTube
10位:Florist/Florist

アンビエントのソロ名義でも活動するEmily.A.Spragueを中心に結成されたフォークバンドの4作目。Emily1人でレコーディングされた前作の悲壮感は薄らぎ、シンプルながら豊穣なバンドアンサンブル、さらに彼女のアンビエント作品の要素も多分に織り込まれた静謐で温かみを感じる作品となった。深夜に一人で聴きたくなる、孤独感をそっと包み込むような音楽。
Florist - Spring in Hours (Official Music Video) - YouTube
9位:fifthRuler./tipToe.

本来であれば6月にリリースされたアルバムcandlelight(これも名作です、念のため)が選出予定だったが、12月にリリースされたこの作品が傑作過ぎたため確定直前に急遽差し替えに。"雨"をテーマにした5曲にインストも含めたミニアルバム。1曲を除き現代アイドルとしては比較的珍しい4-6分台のミドルテンポの楽曲が中心となり、物理・心理的な雨模様に重なるようなアレンジ、詞世界が展開される。個人的にはエレクトロニカにポエトリーなラップが絡む②が出色の出来。柚月りんちゃん推しです。
8位:Martelo/Rafaerl Martini

ブラジルの現行音楽シーンを代表するミナスの才人の新作は、エレクトロサウンドも導入した長尺のプログレッシブなラテンジャズインストに。今年デュオで来日したアントニオ・ロウレイロもドラムで参加するシクステットのアンサンブルによる複雑で緊張感のある反復と展開の連続にゾクゾク。
7位:Du Und Ich/Pohgoh

90年代のフィメールエモの代表格として人気を博し、3年前に再結成した4人組の通算3作目。ボーカルSusieが長年多発性硬化症と闘病しているとは思えないほどポジティブで爽やかに突き抜けたポップさにキュンキュン!鍵盤やストリングスを効果的に差し込んだプロデューサーJ.ロビンス御大の手腕も見事。これはもうエモとか取っ払って全てのギターポップ好きが聴くべきやつ!
Pohgoh "Weeds" (Official Music Video) - Available Now - YouTube
6位:Emotional Creature/Beach Bunny

2020年リリースのデビュー作で一躍パワーポップ新世代として注目された4ピースバンドの新作。90'sのUSオルタナや、アヴリルなどの00'Sガールズロックのいいとこ取りのパンキッシュなパワーポップ。より強靭でラウドになったバンドアンサンブルとショーン・オキーフによるハイファイなサウンドプロダクションも楽曲の甘さを引き立てる。今年度最高フィメールギターポップはこれ!(Pohgohとどっちにするか迷ったけどw)
Beach Bunny - Entropy (Official Music Video) - YouTube
5位:Meu Coco/Caetano Veloso

御年80歳(?!)未だにブラジル音楽の第一線を走り続ける鬼才の新作。流石にこれくらいのキャリアになると、年相応の枯れ感のある落ち着いた作品になってもおかしくないのだけど、一切そんな気配が無いのがカエターノがカエターノたる所以。様々な音楽要素を貪欲に吸収して独自のMPBを作り上げる姿勢はカッコ良過ぎる…!
Caetano Veloso - Meu Coco (Visualizer) - YouTube
4位:Being Funny In A Foreign Language/the 1975

超大作とも言える前作Notes on a Conditional Formは長尺で構成もかなり癖が強く、個々の楽曲は素晴らしかったもののアルバムとしてはなかなか消化できない作品だった。今作はエレクトロ要素を極力排除、アコースティックな音色を多用し、バンド(固定メンバーがどんどん増殖するサポートメンバー含め)としてのThe 1975の現在、ありのままの姿を映した作品だと感じた。前作がホワイトアルバムだとしたらその後にさらっとラバーソウルをリリースしたみたいな。ちなみに自分が一番好きなビートルズの作品はラバーソウル、そういうこと。
The 1975 - I'm In Love With You (Official Video) - YouTube
3位:Asphalt Meadows/Death Cab for Cutie

サウンド面の核であったクリス・ワラ脱退以降のデスキャブの作品はどう足掻いてもその呪縛から抜け出せていない印象だったが、今作で漸く突き抜けた。エレクトロな導入から轟音のサビに突入する①からの歪んだサウンドで突き進む②で掴みはOK、そこからお得意のメランコリックで美メロな楽曲を連発していく。クリスの影響力を否定せず、今の5人でしかできないことをやっていく、そこの最良のバランスを見つけた結果なのだろうか?と思える現体制最高傑作。
Death Cab for Cutie - Wheat Like Waves (Official Audio) - YouTube
2位:Angel in Realtime /Gang of Youths

オーストラリア・シドニー出身で現在はロンドンを拠点に活動する5人組オルタナロックバンドの3作目。90'sのブリットポップ、00年代のオルタナに強い影響を受けたと思われるバンドサウンド、そしてU2のボノを彷彿とさせるDavid Le'aupepeの力強く華のあるボーカル、ここまでアリーナクラスのダイナミズムを感じさせるバンドには久々に出会った。現代音楽やワールドミュージック、IDM、80'sポップス(⑥のThe Way It Isの引用は見事)的な要素も巧みに織り込んで決して時代錯誤、ノスタルジックな作品に終わらせないセンスもずば抜けている。もっと知名度を上げて来日して欲しい。
Gang of Youths - tend the garden (Live Session) - YouTube
1位:Quitters/Christian Lee Hutson

カリフォルニア出身のSSWによる2ndアルバム。フィービー・ブリジャーズとBright Eyesのコナー・オバーストによる共同プロデュース。エリオット・スミスやペイヴメントを彷彿とさせるメランコリックなメロディをどこか捻くれたポップセンスでローファイに表現していく。派手さは無いのに随所に散りばめられたメロディのフックにどんどん夢中になり、終わった頃にはもう一回再生してしまう。多分今年一番聴いたアルバム。
Christian Lee Hutson - "State Bird" - YouTube
これ以外に30枚に入れるかギリギリ迷ったのが、このあたりです(順不同)
Dog Hours/Big Nothing
Heavy Pendulum/Cave In
Vinyl Days/Logic
Heart on My Sleeve/Ella Mai
Requiem/Korn
Ninja of Four/the band apart
SAKANA e.p./downt
fruitful days/原田知世
Va siendo tiempo/Carlos Aguirre Quinteto
Wild Loneliness/Superchunk
単発的に手っ取り早くバズる曲、音楽的バックグラウンドとかの背景を取っ払ったわかりやすさが求められる傾向が更に強くなった音楽シーンですが、やっぱりアルバムでしかできない表現がある、アルバムというフォーマットっていいなと思えた一年でした。2023年は少しレコードの高騰が落ち着けばいいですね…ではまた来年(?)
2021年ベストアルバム

1年ぶりの更新となります。そして1年ぶりの年間ベストアルバムの記事になります。
コロナ禍以降、世の中の音楽のトレンドが見えづらくなったというか、チャートやトレンドを追う必要性が感じられずざっと攫う程度でいいやとなったり、今までお付き合い的に聴き続けてきたアーティストの新作にもイマイチ手が伸びないこともあったり、益々聴いて直感的に良いと思うものに流れていった気がします。
今年も仕事の合間にうーんと首を捻りつつ、感覚的に30枚選んでみたので、すごくお暇な人だけお付き合いください。
※基本今年リリースの新作ですが、一部昨年リリース(フィジカルリリースが今年だったものとか)の作品もあります
30位『Pajara』Clara Presta

アルゼンチンのコルドバ出身、ピアノをベースにフォルクローレやジャズ、インディフォークまで幅広い音楽性を持つ女性シンガーソングライター。ジャケ写通りの躍動感と静謐さの両面が30分弱の中に見事に詰まっている。
29位『Don't Know What I Am』Alien Boy

ポートランドのインディロックバンド。エモーショナルシューゲイザーとでも言うべきノイジーなギターにヘロヘロボーカルに甘々なメロディという最強の組み合わせ。
28位『Infinite Granite』Deafheaven

ブラックメタルシューゲイザーの代表格の新作はまさかの脱メタル&絶叫でドリームポップ的な作品に。結果としてバンドのメロディの良さが浮き彫りとなり新境地を切り拓いたと同時に、溜めに溜めた終盤の絶叫のカタルシスが見事。
Deafheaven - In Blur (Official Video) - YouTube
27位『曖昧なアルバム1』美味しい曖昧

楽曲派シーンで注目を集める5人組の1stフルアルバム。桜えび〜ずの『灼熱とアイスクリーム』を書いたピオーネを中心に楽曲提供しており、ファンク・マスロック・ダンスミュージックなどのミクスチャーでありながら、どこか平熱感漂うサウンドとシニカルな歌詞が印象的。
美味しい曖昧『sugar beat』MV - YouTube
26位『Our Bande Apart』Third Eye Blind

90年代後半に全米チャートを席巻したベテランオルタナバンドの新作。キャッチーなメロディはそのままに、スティーブン・ジェンキンスの音楽ルーツの一つ80'sUKロックからの影響、オマージュが色濃く出た作品となった。派手さこそ無いが、いい具合に力の抜けた佳曲揃い。
Third Eye Blind - Again - YouTube
25位『En el jardin』Yotam Silberstein & Carlos Aguirre

イスラエルのジャズギタリストとアルゼンチンを代表するマルチなアーティストのギターとピアノのドュオ作。パーカッションや環境音も入れつつも、軸となるのは川の流れのように絡み合う2人の演奏。現代のUndercurrentと言っても過言では無い。
01 Fairytale (Yotam Silberstein) - YouTube
24位『TEAM PUPA』ピューパ!!

DIYなスタンスを貫くさなぎ系アイドルグループの4曲入りEP。ピューパ!!はテクノ〜エレクトロニカ的な側面とエモリバイバル〜シューゲイザー的な側面がありその両面が合わさることもあるが、今作は前者にフォーカスした作品。IDMを極限までポップスと融和させた楽曲群は後述するポーター・ロビンソンとのシンクロすら感じる。
ノーモアクライ - ピューパ!! (Official Music Video) - YouTube
23位『僕と君の希求』空気公団

空気公団が山崎ゆかりひとりのグループとなって初の作品だが、まるで新人バンドのデビュー作のような瑞々しさに驚く。優しいフォークソングからキラキラのギターポップまで、シンプルに良い曲&良い歌。
空気公団「記憶の束」Official Music Video - YouTube
22位『Muito Alem do Fim』Lo Borges

ミナスを代表する大ベテランSSWの3年連続のリリースとなる新作。その精力的な姿勢もさることながら、楽曲の質が落ちないのも凄い。アコースティック寄りだった近作より若干ロック的なアプローチが増えたが、清涼感たっぷりのメロディラインをより際立たせている。
Lô Borges - Muito Além do Fim (Part. Paulinho Moska) (Lyric Vídeo) - YouTube
21位『Axiom』Harker

UKはブライトン出身のメロディックパンクバンドの3作目。前作まではUSエモメロディックからの影響が顕著だったが、今作はシューゲイザー的アプローチなどUKバンドらしいウェットさが前面に出た作風に。ダークで怒りに満ちた攻撃性と従来のメロディックなセンスが見事に融合している。
Harker - Hellion (Lyric Video) #RSDUnsigned - YouTube
20位『Fool』Lucie,too

オリジナルメンバーの相次ぐ脱退を乗り越えて2人体制で再スタートを切ったガールズバンドの初のフルアルバム。ポップさの中の隠し味だったオルタナ〜エモからの影響を曝け出し、過去最高に攻撃的でありながらポップなメロディセンスが引き立つ傑作。
Lucie,Too - シワの種 Shiwa no tane (Official Music Video) - YouTube
19位『Los Suenos de los Otros』Mariano Gallardo Pahlen

ウルグアイのSSWのデビュー作。まるでビートルズやビーチボーイズを彷彿とさせる重厚なオーケストラサウンドとフォルクローレ的な南米ルーツ音楽が見事に融合している。60-70年代のロックポップス好きは勿論、Flaming Lipsやエレファント6周辺のバンドが好きな人にもお薦めできる快作。
18位『強くて消えそうな不器用な旋律』WT☆Egret

姫路をベースに活動するローカルアイドルグループの初のフルアルバム。ファンク、ディスコ、ロック、アニソンなど様々なエッセンスを含んだ楽曲を重厚かつ爽やかなコーラスワーク(ライブの再現度も凄い)で歌い上げる。特に坂本真綾を彷彿とさせる楽曲をアイドルグループで表現するアプローチは盲点だった。

通称ホワイトアルバム以降迷走に迷走を重ねていたWeezerが今年はチェンバーポップな『Ok Human』(こちらもなかなかの佳作)とリヴァースのルーツであるHRHMへのオマージュである今作の2枚をリリース。趣味全開なサウンドで攻めた結果、リヴァースの筆も乗ったのか初期すら彷彿とさせるメロディラインが復活。久々の快作となった。
Weezer - Sheila Can Do It (Audio) - YouTube
16位『Music For Psychedelic Therapy』Jon Hopkins

コールドプレイとのコラボレーションで一躍有名になったアーティストの3作目。元々アンビエント的な要素を多分に持ったダンスミュージックだったが、今作ではビートを排した完全アンビエント作。複雑に混じり合う音の重なり、情報量の多さにも関わらず耳に優しく心地良く聴けてしまう。今年度ベスト快眠導入音楽。
Jon Hopkins - Music For Psychedelic Therapy (Excerpt) - YouTube
15位『Blue Heron』Jodi

元Pinegroveのメンバーによるソロプロジェクト。フォーキーで乾いたシンプルなサウンドとグッドメロディ、Red House Paintersを彷彿とさせる淡々としたスロウコア感もあり、インディフォーク好きは勿論ポストハードコアファンにもアピールできる作品。個人的には今のPinegroveより好き。
Jodi - "Hawks" (Official Video) - YouTube
14位『Turntable Overture』Carnation

80年代から現代までジャパニーズロックシーンを一線で走り続けるバンドの18作目の新作。骨太でベテランらしい枯れ感と、30年選手とは思えないポップな瑞々しさを両立させてくるのはもはや職人芸。コロナ禍の状況に影響を受けたと思われる歌詞、特にアルバムラストの一節、"もう雨なんて降らせない"に込められた祈りと決意に痺れる。
カーネーション「SUPER RIDE」Official Music Video - YouTube
13位『Queens Of The Summer Hotel』Aimee Mann

数々の音楽賞も受賞するベテラン女性SSWの新作は当初手がける予定だった(コロナ禍で中止)ミュージカルの脚本にインスパイアされた楽曲で構成されている。そこを意識してか、ピアノとオーケストラが軸のビートルズ後期のポールを彷彿とさせるチェンバーポップ的なアプローチが見事にハマっている。
Aimee Mann - Suicide Is Murder - YouTube
12位『Vertigo Days』The Notwist

ドイツのベテランバンドの9作目。3人編成となり、テニスコーツやフアナ・モリーナなどゲストも積極的に登用している。インディロックとエレクトロニカをクロスオーバーさせた音楽性をベースにしつつも、今作はよりクラウトロック色が強まり、トライバルなビートも導入し、幻覚的な音像を作り上げている。
The Notwist: Where You Find Me - YouTube
11位『Future Suits』Pet Symmetry

into it,over itなどのバンド活動やプロデュース、レーベル運営などエモシーンでマルチに活躍するEvan WeissがDowsing、What Givesのメンバーと組んだスリーピースの3作目。よりシリアスに広義のロック化していくiioiに対して、1曲目からWeezerやMCSを彷彿とさせるパワーポップ全開でニヤリ。肩肘張らずに作った遊び心満載で『Van Weezer』との偶然のシンクロも感じる。
Pet Symmetry - 2021: A Personal Space Odyssey (Official Music Video) - YouTube
10位『Te』Diego Schissi Quinteto

現代タンゴの第一人者により5年ぶりの新作。ピアソラが確立したタンゴの伝統の編成でその枠を破壊するような攻撃性と、静謐で美しいピアノのメロディの両面がより深化。ドラム不在ながら各楽器がパーカッシブなアプローチで躍動感を生み出していくアンサンブルは圧巻。
9位『Muck』Dikembe

リリースは昨年だが、フィジカル流通が今年に入ってからだったので今年のベスト作に。エモリバイバルにカテゴライズされつつも癖の強い陰鬱なボーカルと独自の音楽性で評価されてきたフロリダ産4人組の新作は完全にエモの枠を脱却。オルタナともハードコアともグランジともつかない、ねっとり纏わりつくような暗黒の美しさ。これは2020年代のイン・ユーテロ?
Dikembe - All Got Sick [OFFICIAL MUSIC VIDEO] - YouTube
8位『True Love』Hovvdy

テキサス州オースティンをベースに活動するフォークドュオの4作目。傑作だった2nd『Cranberry』に対して前作『Heavy Lifter』は牧歌的でポップ過ぎた気配があり、個人的にはあまりハマれなかった。今作は両作品の良いとこどりで、フォーキーな感触は引き継ぎつつ、ローファイで陰のあるスロウコア的な要素がいい塩梅で組み込まれている。終盤の感情的なリフレインに圧倒されるタイトルトラックは今年のベストソングの一つ。
Hovvdy - True Love (Official Video) - YouTube
7位『Flor』Gretchen Parlato

NYで活動するジャズボーカリストの10年ぶりとなるオリジナル作。ジャズの枠にとどまらず、南米やアフリカ、クラシックまで様々なジャンルを横断しつつも、一つの世界観で纏まっているのはグレッチェンの歌の力ゆえ。タイトル通り色とりどりの花が咲き誇るような傑作。
6位『Local Valley』Jose Gonzalez

スウェーデン在住のアルゼンチン人の6年ぶりの新作。ガットギターの弾き語りの基本的なスタイルは変わらずも、トライバルなビートが前面に出てよりポジティブな空気を感じる楽曲が増えた印象。インディフォーク的な要素と南米音楽的な要素が絶妙なバランスでミックスされ、個人的に過去最高傑作。
José González - Swing (Official Music Video) - YouTube
5位『Really From』Really From

People Like Youから改名して初のアルバム。アメフト直系のポストロック・マスロックサウンドとジャズ的要素が見事に絡み合う。エモ系のバンドを多く取り扱うTopshelfからのリリースだが、多方面で話題になったのも頷ける。流麗な女性ボーカルとラフで調子外れな男性ボーカルのコンビネーションも素晴らしい。
"I Live Here Now" by Really From - YouTube
4位『Walkman』Bad Bad Hats

ミネアポリス出身のスリーピースインディロックバンドの新作。That Dog的な軽快なギターポップサウンドにエイミー・マンを彷彿とさせるボーカルが乗る。パワーポップ・アメリカンオルタナ好きは勿論、パンク〜フィメールエモ好きにもアピールできる要素もあり。今必要なのはこういう単純明快なロックンロールなのかも。
Bad Bad Hats - Detroit Basketball (Official Music Video) - YouTube
3位『Sling』Clairo

2017年のデビュー作が大きな話題を呼んだSSWの2作目。前作は正直、「あー今時の宅録っぽい感じね」とスルーしていたのだけど、犬を飼い始めたことにインスピレーションされたという今作は60-70'sのフォークを今時のエッセンスで調理した感じで、ノスタルジックかつモダンなサウンドが素晴らしい。メロディがシンプルなアレンジだからこそ光る。
2位『Nurture』Porter Robinson

テクノ・エレクトロニカも好きだけどEDMはそんなに聴かない自分が以前から聴いていた数少ないアーティストの7年ぶりの新作。Madeonとのコラボ『Shelter』の時点でその傾向は出ていたけど、今作は"極限までポップミュージックと融和させたIDM"。オーガニックなサウンドの心地よさもさることながら、どことなく日本人の琴線に触れる(ジャパニーズカルチャーへの造詣が深い影響?)メロディの魅力には抗えない。
Porter Robinson - Look at the Sky (Official Music Video) - YouTube
1位『Gami Gang』Origami Angel

前作『Somewhere City』がパンク〜エモ界隈で大きな話題を呼んだツーピースの新作はなんと20曲入りの大ボリューム(LPでは2枚組)。"速い短い"が売りのインディパンクシーンではかなり挑戦的な内容だが、どキャッチーな楽曲達が矢継ぎ早に畳み掛けてきて、正直飽きるダレる瞬間が全く無い。楽曲のアレンジも、適度に幅が広がりつつも本来の良さを損なわずで、前作からの短いスパンでこれだけ質の高い作品を出してしまう意欲に畏れ入る。ロック全盛の時代であればもっと話題になったのにと思うと残念、というかこんな良曲揃いの作品がコロナ禍で埋もれるのは勿体無い。今からでも聴くべし。
【総評】
こうして見ると今年ヒップホップやR&B系ゼロですね…特にヒップホップ系はフィジカルで出てないものも多くてあんまチェックできなかったのもあるけど。Tyler The CreatorとCommonくらいかな?ちゃんと聴いて割と良かったの。R&BだとランクインしなかったけどCelesteとかダイアナ・ロスは良かったですね。後、ギリ選外だったところだとGrapevine、ポニーのヒサミツ、downt、Anushuka、Dinosaur Jr.、CFCF、Andy Stottあたりでしょうか?
なんだかんだ自分にとっての"良いメロディ"×"心地よい音"の相乗効果が高いもの順て感じですかね?トップ10以降は年が明けたら多少入れ替わったりしそうですが、今の気分てことで。結局これ作るの6日かかった…誰かに見てもらいたいというより自分にとっての今年の音楽を整理できるのでいいんだけど。
アルバムという概念自体が世間的には古いものになりつつある中ですが、未だにアルバムを作ることに拘っているアーティストを応援したいですね。後なんでもレコードで出しときゃいいだろ的な雑なレコードバブルはそろそろ弾けて適正な状況に戻ってほしい。ではまた一年後に(?)
2020年ベストアルバム

ここはsora tob sakanaへの想いを成仏させるために短期間だけ開設したブログで、もう更新することは無いと思ってましたが、毎年Twitterで年間ベストアルバムを更新するのが結構手間なのでここを使ったほうが楽なんじゃね?と思い立ちました。というわけで今年のTOP30です。
今年はコロナ禍の影響もあってか新作のリリースがぐっと減りました。今年買った純然たる新作は去年より100枚くらい少なかったみたいです。でも一時期在宅ワークしたり、ライブも無く家にいることが多くなり、そしてレコードプレイヤーを新しく買った影響もあり、音楽を聴く時間は確実に増えました。そして、エモ・パンク・HCのレコードを収集することに目覚めた結果、音楽につぎ込んだ金は去年と対して変わらない気が・・・どうでもいい前段は置いといて始めます。
●No.30 You'll Be Fine/Hot Mulligan

ミシガンのエモリバイバルバンドの2枚目のフルアルバム。1曲目こそトゥインクルなイントロだが、全体的にはモダンポップパンク色が強く、耳に残るがなるような歌声が印象的。でも決してスクリーモ~激情的にはならずこのダミ声がひたすら切ないメロディを際立たせる。同郷のCharmerの新作Ivy(今回は惜しくも選外)もそうだったが、今年は典型的なエモリバイバルから脱却した”聴かせる”作品が個人的に刺さった。
●No.29 Lament/Touche Amore
現行ポスト・ハードコア代表格バンドの5作目。元々、典型的な激情系の枠に収まらないスタイリッシュさを持つバンドだったが、ロス・ロビンソンをプロデューサーに迎えた今作でより多彩なアプローチを追求。ポストパンク、カントリー、ピアノバラードなどサウンドの幅を広げつつも、Jeremy Bolmの壮絶でエモーショナルな歌唱は不変。
●No.28 The View From Halfway Down/Andy Bell

シューゲイザーレジェンドRIDEのフロントマンにして、OASISの元メンバーでもある才人の初のソロ名義の作品。60年代のサイケデリックロックから影響を受けたメロディラインは健在だが、ほぼ一人で製作したこともあり、サウンドはエレクトロニカやクラウトロック色が強くRIDEとは一味違うサイケデリアを生み出している。個人的にはBECKにも通じる自由奔放さを感じた。昨年のRIDEの新作でも思ったが、50歳とは思えない程感覚が若い!
●No.27 ファルセット/RYUTist

新潟の古町をベースに活動するアイドルグループの4作目。シングルリリースした楽曲をアルバムに組み込んだ初の作品となった。楽曲提供は沖井礼二・北川勝利といったポップマエストロから、シンリズム・Kan Sano・柴田聡子・Ikkubaruといった新進アーティストまで豪華な顔ぶれで正にポップミュージックの玉手箱。特に蓮沼執太によるALIVEは新機軸で出色の出来。これらの楽曲を彩る4人の自然なハーモニーは不変で至高。
●No.26 20/20/Knuckle Puck
現行ポップパンクシーン最注目株による3作目。オルタナ色の強いアグレッシブなサウンドとメランコリックでキャッチ-なメロディが持ち味だったが、今作はよりポップさを追求し00年代ポップパンク~ギターポップ的なアプローチに。NFGの王道ポップパンク回帰に呼応したような突き抜けた爽快さ、Third Eye Blindを彷彿とさせるギターアプローチは、このサウンドが青春だった自分のような世代には堪らない。
●No.25 Gold/FAREWLL,My L.u.v

名古屋をベースに活動するSoul~R&B~HIP HOPアイドルの新作。児玉律子とサポートメンバーのタイロン・ウッズの2名体制での作品となった。1曲目からサポートメンバーをメインに据えるという掟破りのダンスチューンHappy Lightに始まり、極上浮遊レゲエチューン染まっていく、ミニマルでジャジーで90’Sなトラックが刺激的なObsessionなどバラエティ豊かな楽曲が並び、児玉律子のボーカリストとしてのポテンシャルを存分に味わえる。
●No.24 No Driver/I Love Your Lifistyle

スウェーデンのエモ~メロディックバンドの3作目。前作の路線を継承した持ち味のキャッチ-でパンキッシュなサウンドに加え、シンセも多様しより広義のギターポップファンの心を掴む作品に。全曲シンガロング必至の捨て曲無し。母国語で歌う曲があるのも良いし、ミディアムテンポの楽曲が特に沁みる。そして、特筆すべきはジャケットが可愛い。
●No.23 Blue Hearts/Bob Mould

Husker Du~Sugar~ソロと活動してきたハードコアパンク~オルタナの大重鎮のソロ14作目。コロナ禍~BLM~大統領選に端を発したアメリカの混乱に対する怒りをストレートにぶつけた原点回帰作品。パンクロックと政治は切り離せないものであるけど、この作品に説得力をもたらしているのは綴られた言葉ではなく、演奏とボブの絶唱から感じる『音に込められた怒り』、そしてどれだけアグレッシブになっても損なわれないメロディセンスだろう。
●No.22 Red Eye/Randy Goodrum

アメリカのAOR界を代表する(自分はこのアルバムで初めて存在を知ったのだけど)SSWの26年ぶりの新作。タワレコで何の気なしに試聴して、再生した一音目からこれは絶対間違いないやつだとわかり即購入。全楽器パート・メロディ・歌・コーラスの調和が心地よすぎる。王道かつモダンなアレンジを盛り込んだThe Hubが特にお気に入り。
●No.21 THE PARK/赤い公園

個人的世界で一番好きな女性ボーカリストの1人である石野理子(exアイドルネッサンス)が新ボーカルとして加入後初のフルアルバム。一聴して赤い公園とわかるサウンドやメロディを核に残しつつ、石野の歌声を100%活かせる楽曲にシフトさせた津野米咲の才能と力量に感服。直近で発表されたシングルも傑作で今後のさらなる飛躍を期待していただけに、津野の急逝がただただ残念。
●No.20 Compartidas/Asi

Gonza Sanchezを中心としたアルゼンチンのバンドの3枚目のアルバム。元々はドリーミーなインディロックだったが、前作(国内版はこのアルバムとの2in1)からAOR/ジャズのテイストが盛り込まれ、今作はその志向をより強めた作品となった。女性ボーカルをフィーチャーした楽曲が増え、Chassolからの影響も感じられる意欲作となった。心地よい浮遊感に包まれてチルアウトできる。
●No.19 Punisher/Phobe Bridgers

LA出身の新進SSWの2作目。今年はThe 1975とのコラボレーションでも注目を浴びた。ローファイなフォーク~ギターポップからブラス隊をフィーチャーし聖歌的なバックコーラスまであるラスト曲まで、USインディ的サウンドとメジャー志向の大物感を嫌味なく同居させる手腕が見事。何より声とメロディが良いのと、女性SSWにありがちなメンヘラ感があまりなくてカラっとしてるのも好き(個人の感想です)。
●No.18 First Star/Jewel☆Ciel

Arc Jewel所属のアイドルグループ初のフルアルバム。アイドルらしい夏感とノスタルジアのあるキラキラした楽曲をメインとしつつも、芯のあるバンドサウンドが全体をグッと引き締めて、派手過ぎず地味過ぎずの絶妙なバランス。個人的に「アイドル楽曲で評価すべきは玄人受けするジャンルに特化しているかではなく、多彩なジャンルをいかにポップミュージックとして昇華できているかではないか?」という認識を持つきっかけになった。楽曲提供者の1人でサウンドプロデューサーの平田博信(Swinging Popsicle)が以前関わっていたAurolanoteのカバーが秀逸。
●No.17 Gulfer/Gulfer

カナダ出身のエモリバイバルバンドの2年ぶりの新作。前作Dog Blessはザ・トゥインクルエモという感じのツインギターがタッピング地獄で畳み掛ける強烈かつ勢いのある作品で、個人的にも2018年ベストの1枚に挙げていた。今作はイントロを挟んだ2曲目こそ前作を彷彿とさせるが、全体的に鬼のタッピングは要所に留める感じでグッと聴かせる正統派にシフトしている。結果的にバンドのソングライティングの良さが浮かび上がる好作となった。例えるならGulfer版endserenadingか?
●No.16 蕾/Climb The Mind

名古屋のマス~エモスリーピース3年ぶりの新作。よりスローでメロディアスに、フォークソングを彷彿とさせるまで歌心が深化。持ち味である飄々とした歌詞も物語性が強まり、『出会いと別れ』を感じさせる内容となった。一方でリード楽器と言っていいような独特のベースライン、エモーショナルにバーストするギターは健在で、メロディを一層引き立たせている。インディ・エモ好きのみならず、もっと認知が上がって良いバンド。
●No.15 Notes On A Conditional Form/The 1975

前作でUKのみならず世界的ロックバンドにのし上がった4人組の前作から短いスパンで発表された4作目。CD1枚で22曲トータル80分というボリューム、スムーズには進まない曲構成と、正直アルバムとしての評価に若干困る作品となった。一方でMe & You Together Songを始めとした先行シングル群の圧倒的なキャッチ-さはキャリア中堅バンドとは思えない瑞々しさに満ちている。個人的にはサブスク主流となりアルバムの存在価値が問われる昨今の音楽の聴かれ方への皮肉かつ挑戦状と解釈したが…
●No.14 Forever + Ever X Infinity/New Found Glory

00年代ポップパンクの代表格の10作目。ルーツであるHCパンクの前のめり感を取り戻しつつ、持ち味のドキャッチ-なメロディセンスも全開にした傑作。ロックバンドがトレンドで無い今だからこその原点回帰。今年のパンクシーンを象徴する一枚となった印象。余計な説明は不要、あの頃キッズだった皆聴くべし。
●No.13 Never Not Together/Nada Surf

USインディ・グランジ・オルタナシーンの荒波を生き抜いてきたベテランバンドの9作目。キャリアの中で研ぎ澄まされていったメロディセンス、普遍性、純度の高いギターポップ集。初期代表曲Popularを彷彿とさせるスポークンスタイルでまくしたてるSomethig I Should Doは圧巻。
●No.12 Suddenly/Caribou

Dan Snaithによるソロプロジェクト6年ぶりの新作。夢見心地なエレクトロサウンドと歌心のあるメロディは健在。今作は大胆なサンプリングのR&B~ヒップホップ的なアプローチやフォークトロニカ要素も盛り込みバラエティ豊かで緩急があるのにしっかり一貫性のある作品となっている。HOMEは今年のベストトラックの1つ。
●No.11 Clouds In The Mirror (This Is Not A Safe Place reimagined by Pêtr Aleksänder)/Ride

昨年に発表したThis Is Not A Safe Placeを Pêtr Aleksänderがストリングスアレンジでリミックスしたアルバム。元々再結成後のRIDEはエレクトロニカに積極的に接近していただけあって、繊細なメロディライン・コーラスワークがポストクラシカルなサウンドが違和感なくマッチしている。RIDEというバイアス抜きにしても純粋に美しい作品。
●No.10 Ohms/Deftones

ハードコア・メタル両界隈から支持される稀有な重鎮(物理的にも)バンドの4年ぶりの新作。前作GOREは若干煮え切らない内容だったが、今作はチノのボーカル、ヘヴィに浮遊するギター、アンビエントなエレクトロサウンド、どれを取ってもいい具合に振り切れている。所謂キラーチューン的な楽曲は無いがアルバムトータルで隙が無い。サバスばりのクラシカルなフレーズから激重展開に雪崩れ込むラスト表題曲で一気に全体の流れが集束していく感じは圧巻。
●No.9 PINK/RAY

匿名シューゲイザーアイドルとして話題になった………(以下ドッツ)の運営が手掛ける4人組アイドルの初のフルアルバム。ドッツ時代の楽曲も一部引継ぎ、Ringo Deathstarによる提供曲Meteorなどシューゲ~エレクトロ路線を継承しつつ、新機軸としてパンク・ポストハードコア色が強まった作品に。これらの雑多なジャンルを内包しつつも核となるのはキラキラとしたメロディラインと4人の歌声。マニアをニヤリとさせる音楽性を維持しつつも、しっかりアイドルポップスとして成立する楽曲たち。この魅力を否定しろというのはなかなか難しい。
●No.8 Printer's Devil/Ratboys

シカゴを拠点に活動する男女エモ~オルタナデュオの3作目。今作から4ピースのバンド編成になった影響か、ぐっと歪んだギターが前面に出たアグレッシブな作風に。これにJulia嬢の甘い歌声が乗っかるのだから堪らない。that dogやSarge、P.S.Eliotなどの90'sオルタナの系譜を引くギターポップ好きは必聴の一枚。
●No.7 Corpo Possivel/Bruna Mendez

アフロだし名前似てるけどブルーノ・メンデス(セ●ッソ大阪)ではありません。ブラジル出身の若手女性SSWの2作目。エレクトロでチルなサウンドに乗せてポルトガル語で歌われるR&B。サウンドと語感の相乗効果で独特な心地よい浮遊感が産まれ、トレンドの音でありながら圧倒的に個性的。やはり南米大陸は才能の宝庫である。
●No.6 Somewhre City/Origami Angel

ワシントンをベースに活動する2人組エモリバイバル。昨年11月のリリースだけど、存在を知ったのも聴きまくったのも今年だし今年のベストに入れさせて下さい。所謂トゥインクルエモ的な楽曲もあるものの、そこに留まらない個性的でテクニカルなギターアプローチ(特にクリーントーンのカッティングがイカす)がカッコいい。NFGばりの爽快なポップパンク・STDのような切ないメロディにエモリバイバルのシンガロングな衝動性が合わさったら最強でしかないでしょう。
●No.5 Figure/Into It. Over It.

数多くのバンド・プロジェクトで活動してきた現行エモの最重要人物の1人、Evan Weissの本業とも言えるiioiの4作目。前作Standardsはパンキッシュな要素が減退しポストロック的なアプローチで聴かせるアルバムだったが、今作はより広義のギターロックに接近している。と言ってもメジャーな大作志向というわけでもなく、いい具合に力みの無いバンドアンサンブルとグッドメロディは個人的にはNarrow Stairsの頃のDCFCを彷彿とさせる。Evanの才能底知れず。
●No.4 Inlet/Hum

95年に早すぎたポストオルタナな1枚You'd Prefer an Astronautを発表し、後発世代に多大な影響を与えたバンドが22年ぶりの新作を突如発表。基本的なスタンスは変えず、そのヘヴィさはさらに凶悪に、ブランクを感じさせないどころか時代がようやくHumに追いついたことを証明するような1枚となった。奇しくもShiner、Deftones、JESUなどジャンルの壁を超えてヘヴィな音を鳴らすバンドが直近で新作を発表し、この流れを象徴するようなオリジネイターの帰還だった。
●No.3 16歳のアリス/川上きらら

うさぎのみみっくのメンバーとしても活動する福岡出身の16歳(現在は17歳)のソロ名義で初のフルアルバム。初期松田聖子を彷彿とさせる古き良き正統派アイドルポップスを現代に成立させるのは、彼女の歌声・と歌唱法(特にしゃくりが素晴らしい)あってこそ。更に80年代後半~90年代前半J-POP的なアプローチもあり、飽きさせない。音楽がライトに消費させる時代だからこそ作りこんだよい曲・アレンジ・歌が満載の作品が世に出たことは意味があると思う。グループ活動含めて今後に更に期待。
●No.2 Women in Music Pt. III/HAIM

正直彼女達の過去作はあまりちゃんと聴いていなくて、『ブラックミュージックや80’sを消化したお洒落な音楽をやる今時のバンド』という印象だった。ある日たまたまレコード屋でかかっていたのがこの『Women in Music Pt. III』、レイドバックした泥臭いアコースティックナンバーが耳に残った。今作は前述したイメージ通りのスタイリッシュさもありながら、そこにアメリカーナなテイストが違和感なく溶け込んでいる。ジュディ・シルをポール・サイモンがアレンジしたようなLeaning On Youは今年のベストトラックの1つ。
●No.1 Every Sun,Every Moon/I'm Glad It's You

カリフォルニアのエモバンドの2作目。前作はThe Promise Ringフォロアーとも言える正統派なメロディックエモだった(なお今作を買った後に聴いた)が、今作は御大J・ロビンスをプロデューサーに迎え、エモの枠を取っ払ったギターポップとも言える爽快感とスケール感のある作品に。ピアノやキラキラシンセも多様しつつ、時に軽快に時にエモバンドらしくハードにドライブするギターサウンドが心地良い。そして、3-4枚目あたりのSaves The Dayや初期Copelandを彷彿とさせる切ないメロディラインの素晴らしさ。00年代前後に出てきたらメインストリームでヒットも狙えたのではとすら思える。エモを、洋楽を普段聴かない人でも刺さる人がいるであろう、そんな普遍性のある大傑作。
そんな感じで、今年は嗜好がパンク・エモ寄りになったのが顕著に出た結果になりました。アイドルに関しても所謂楽曲派的なものより純粋に曲が良いものが刺さるようになってきたかも。そんな2020年でしたな。
sora tob sakanaと私⑤メンバー編(完)
本当はふぅちゃんの誕生日に間に合わせるつもりでしたが、下書きがぶっ飛んだり、書き直したりしてたら9月の終わりとなりました…
今回はサカナのメンバーへの想いを語って締めくくりとしたいと思います。

※注※れいまなつかに関しては客観的、ふぅちゃんに関しては超主観的文章となっています※注※
●風間玲マライカ
『心優しき自由人』

サカナ現場に通うようになって持った印象は、
・思ったことをすぐ言動に出す子
・歌声に癖が無く綺麗
・上昇志向(「売れたい」連呼w)
あたりだろうか?
初対面だろうと知ってるオタクだろうととにかくフランク、メンバーに対しても遠慮なくものを言うし、キツい性格の子なのかなと思った。
でもしばらくして見えてきたのは、根が優しくて機転の利く側面だった。
それを象徴する出来事が16年10月の定期公演。オケが止まってしまった時に、「時間が止まったのに私たちだけ動いている!」とアドリブを入れたり、オケトラブルが原因で思うようなパフォーマンスが出来なかったと泣き出すふぅちゃんに「しっかりして!いつも全力なんでしょ?」と声をかける姿、とても頼もしかった。対外的なイベントやTV/ラジオなどでもれいちゃんの存在が、サカナの弱点である「トーク」「バラエティ感」を補っていた感はある。(3人になってからのユルさも楽しかったけど)
また、自身の生誕祭でも常に『ファンが見たいと思うもの』を考え、それを優先して企画に入れて(レア曲やラップ曲、オサカナ楽団、サインボールなど)、とてもファン思いな一面もあった。それはラストの卒業公演まで徹底されていたし、アイドル生誕祭で定番のソローコーナーを卒業の日に初めてやったことにれいちゃんがどれだけ『皆で楽しむ』ことを最優先していたかが顕れていると思う。
卒業して1年以上経っても、芸能活動に拘らず今やりたいことをマイペースにやっているのもれいちゃんらしい。これからも人生楽しんで。
●山崎愛
『永遠の未完の大器』

自分がサカナを知った頃(15年末)、唯一途中から加入して最年少だったまなちゃんは先輩メンバーに敬語を使っていた。ブログもとてもアイドルらしい内容(今見るとかなりシュールw)で、
・真面目で健気
・儚げで思春期感のある歌声
・繊細で人見知り
こんな第一印象だった。
敬語を使わなくなったのが16年の夏あたりだっただろうか?そこからどんどんと変人の片鱗wを見せ始めるとともに、メンバーへの不器用な愛情を全開にしていった。解散直前に「サカナに入って良かったことは?」という質問に「友達(メンバー)ができたこと」と答えたように、メンバーと一緒にいることが誰よりも好きだったと思う。
そして「サカナの成長は山崎愛の成長の歴史である」と言っても過言ではないくらいパフォーマンス面の成長が著しかった。彼女の持ち味である儚げで柔らかい声質を損なうことなく、太さと力強さも加わった18年以降の歌唱は見事だった。そして、その声の柔らかさはハモにも最適だった。余談だが、まなちゃんが夏の扉でハモを入れるようになった時に全握で褒めたら「え?やったー!」ととても喜んでくれたことが私とまなちゃんの数少ないいい思い出であるw
このままアイドルを続けていたらどんな成長を見せてくれたのだろうか?行動思考の読めない子だけに、しれっとどこかで復活しないだろうかと密かに期待もしている。
●寺口夏花
『ゆるキャラの仮面に隠した信念』

なっちゃんの第一印象は、
・最年長なのに一番背が低くて言動も子供っぽい
・独特なアニメ声
・意外と毒舌
みたいな感じで、16年3月の初めて行ったふらぷろ祭でもシャムの野呂さんとゆるゆるなMCを担当していたのをよく覚えている。
恐らくなっちゃんは元々ダンスや歌が得意なタイプでは無かったと思う。特にリズム感を必要とされる楽曲で相当苦労をしたのではないだろうか。それでも大舞台やいざというときに一番パフォーマンスが頼もしく見えたのは寺口夏花だったし、きっと陰で血のにじむような努力をしてきたはず。その努力を表に出すことを嫌がり、ゆるいキャラで隠していたのではないかと勝手に思っている。
思えば、4人時代のMCやトークで自然とまとめ役になっていたのはなっちゃんだったし、「みんな仲良しくして!」「ズルはダメ」「人が話してるときに後ろ向かない!」などの発言も本気だったのだろう。その責任感・正義感の強さを象徴するエピソードを1つ。
16年6月のれいちゃん生誕祭。前述した通りレア曲中心(+オサカナ楽団、撮影可能曲などの企画)のライブで、ソロコーナーも無かったことからいつも通りの感じでライブが盛り上がっていた。その時、ライブの合間のMCでなっちゃんが発した一言、
「ねえ、れいの生誕なのに白以外のサイリウム焚くのあり得なくない?」
れいちゃんの性格的にそこまで気にしていなかったかもしれない。それでもなっちゃんは、少しでもれいちゃんの生誕祭らしくしたかったのだろう。当然、赤いサイリウムも見えていただろうに、はっきりと発言する姿がとてもカッコよかった。
彼女がアイドル活動に区切りを付けたくなったのは、そんな根の真面目さ、正義感の強さゆえにという部分は少なからずあったかもしれない…けどそこを詮索するのは野暮だろう。そんななっちゃんが好きだったし、幸せに平和に健康に怪我無く過ごして欲しい。
●神﨑風花
『天使』

150枚(多分)、ふぅちゃんと撮った(ツーショット)チェキの枚数である。
サカナのオタクとしての5年間は間違いなく、『ふぅちゃんとの歴史』だったし、ふぅちゃんとのチェキ(通称:ふぅチェキ)を見返すだけで色々な思い出が蘇ってくる。自分のオタクスタイル(1グループ=1推し、生誕以外は推しと撮らない、ループしない、「推してる」と口に出さない)は完全にふぅちゃんを推す中で確立されたものである。
そんなふぅちゃんの第一印象は、
・ボブ
・子供っぽい
・元気
と普通の中学生だなーという感じで、一発で惹かれたわけではなかった。
初ふぅチェキを撮ったのは2度目にサカナを観た時、忘れもしない2015年12月27日(余談ではあるがハ●ムスの元阿部さんと初チェキを撮った日でもあるw)、TFMホールの対バンだった。座りで高くて広いステージでじっくり観れたこともあって、ふぅちゃんの表情の豊かさがやたら印象に残った。
「何この子、ライブ中ずっと表情コロコロ変えてるやん」
ただ笑顔をキープするのではなく、変顔に近いレベルまで曲や歌詞に合わせてコロコロ変わる。ついつい目で追ってしまった。
当時、主現場だったアイドルネッサンスの特典会はお見送り会がメイン、チェキを撮れるのは生誕祭のみだったので、「チェキはおめでたい日に撮る特別なものでむやみやたらに撮るものではない」という感覚だった。なので今では信じがたいことだけど、相当な覚悟を決めてチェキを撮りに行ったと思う。

何を話したかは緊張しすぎて覚えていない。でも、明るくてフレンドリーでめちゃめちゃいい子だと思ったのは覚えている。それからサカナ現場行った時は必ず、ふぅちゃんとチェキを撮るようになった。ふぅちゃんからどんどん話をしてくれるし、気を張らなくてもアイドルと楽しく話せるということが少しずつ楽しくなっていた。
そして、2016年の5月7日にふぅ推しになる決定的な出来事が起きる。その年のGW、ふぅちゃんは体調不良でライブをしばらくお休みしていた。そしてGW最終日の7日から復帰する告知があり、いてもたってもいられず急遽秋葉原のバクステに向かった。そこでの特典会、自分の顔を見たふぅちゃんが「ウシロさーん!」と満面の笑みで声をかけてくれた。それまでアイドルに名前を覚えてもらう必要性を感じていなかった自分が初めてアイドルから認知された瞬間、恐らく死ぬ時の走馬灯に確実に流れるだろうw

それからはもう夢中だった。みるみるサカナ現場は増えていったし、ライブ中にコールしたりケチャしたり行動で示せば、ふぅちゃんはしっかり爆レスで応えてくれた(それを会場にいる沢山の人にやってたのだから本当にすごい子だと思う)。当時からふぅちゃんには強い古参オタクの方々がたくさんいたので、かえって他人と比べるプレッシャーも無くマイペースで1現場で1チェキを守ることもできた。
一方でふぅちゃんはMCやトークイベントではあまり積極的に話すタイプでは無かった。後、結構泣き虫。現場が増えるにつれ、この子は根は大人しいタイプなんだということもなんとなくわかってきた。だからこそ、歌もダンスもアイドルとしての自分のあり方も、努力をして試行錯誤して絶えず向上させていったんだと思う。その象徴の一つが毎日続けた『ふぅカルタ』『ふぅ格言』だろう。(まなちゃんのブログもそうだけど、サカナメンはやると決めたら意固地な子が多い)
そんなふぅちゃんも高校生になり、年齢を重ねるにつれ落ち着きのある美少女に成長していった。ライブ中の百面相は歌詞の世界観を意識した繊細な表情に、満面の笑みはアルカイックスマイルに、歌唱は自分の声質を100%活かせるような自然なスタイルに、ダンスも指先・つま先まで意識された華麗さを身に着け、『天使のような』から『天使』に変身していった。
そんな変化も含めて全部魅力的だったし、どんな時もいつも自然なふぅちゃんだったから自分もペースを崩さずに5年間推し切れたのだと思う。

これを書き終わる2日前の9月28日にふぅちゃんは19歳の誕生日を迎えた。これからどんな大人になるのだろうかとか、どんな道に進むのだろうかとか気になることはたくさんあるけど、今は楽しい5年間を過ごせたことへの感謝しかない。ふぅちゃん、君のおかげでオタクとして色々踏み外した気がするけど、最高に楽しかったよ。本当にありがとう。できればまたいつかどこかで。

このチェキ残念なことに発色が悪いんですけど、好きなんです。
同じ空の下のどこかで(ribbonのMVのラスト風)
●あとがき
まさかこんなに時間がかかり、かつ長々と書くことになるとは思いもせず・・・でも思い出を整理して吐き出せたので、12月にラストライブの映像が届くころにはちゃんと受け止めて見直すことができるような気がします。
サカナに、ふぅちゃんに出会わなければ、ふらぷろの後輩たちにも、さまざまなアイドルにも出会わずKSDDにもなってなかった気がします。そんな意味でも人生を変えてくれたグループ。後にも先にも唯一のグループだと思ってます。
いつか、近い将来にサカナの音楽がもっと正当な評価を得たらいいなと願いつつ、このブログを締めたいと思います。(恐らくもう更新することはないでしょうw)